約 1,629,448 件
https://w.atwiki.jp/lord_of_vermilion/pages/357.html
◆海種 ver.1.2 #ref error :画像を取得できませんでした。しばらく時間を置いてから再度お試しください。 超獣 ver.1.1 ver.1.2 ver.1.3 ver.1.4 / 亜人 ver.1.1 ver.1.2 ver.1.3 ver.1.4 / 神族 ver.1.1 ver.1.2 ver.1.3 ver.1.4 / 魔種 ver.1.1 ver.1.2 ver.1.3 ver.1.4 / 海種 ver.1.1 ver.1.2 ver.1.3 ver.1.4 / 機甲 ver.1.1 ver.1.2 ver.1.3 ver.1.4 / 不死 ver.1.1 ver.1.2 ver.1.3 ver.1.4 【憤怒】アルビオン ナーガ シュクラケン ローレライ ブージャム 【憤怒】アルビオン (R) No 177 名前 【憤怒】アルビオン コスト 25 種族 海種 HP 440 ATK 50 DEF 55 移動速度 3 攻撃対象 複数 攻撃属性 炎 弱点属性 雷 スキル - 特殊技 ソウルバインド 分類 妨害 特殊技効果 敵プレイヤーキャラクタのサクリファイスを一定時間、使用禁止にする 効果範囲 前方円形(大) イラストレータ 山宗 DATA 身長 2.3[meter] 英雄気取りの愚か者を鉄球の染みにする日々に嘆いていた自らを破る真の英雄の来訪ではなく、神魔霊獣を超越する絶対的な強者との邂逅を強く渇望する。善悪道理に拘りなく、ただ圧倒的な破壊の権化を。海神として生まれ落ちた彼だが、戦いを欲する海の怪物へ、その内面から変じつつあった。 重量 180[kg] 武器 回転粉砕大鉄球 生息域 沿岸地域 趣味 とおせんぼ 好きなもの 海産物全般 コメント 「新たなる胎動」の目玉のひとつである【】持ちの使い魔。 当時、【掌握】セラフに次いで発表。 どこをどう憤怒したのか、海種において貴重な炎複攻を伴って再登場した。 (発表当初は、なんでアルビオン?という反応の方が多かった) 特殊技のサクリファイス封印効果は、およそ8カウントと長め。 サクリファイス使用による逆転を封じるのはおもしろいが、使用されると無用の産物になるのは痛い。 先読み・保険代わりに使用していきたい。 ただ、愛染明王(ニーズへッグ)対策にお勧めの旧アルビオンの使い勝手が良く、こちらの扱いが難しいのが本音。 (旧アルビオンとNoは違うが、【】持ちと併用不可に設定されている) 速度3のシールド持ちが増えたためデッキの幅は増えたが、自身が攻撃型の能力のため、号令系シールド持ち、つまりオケアノスを外すことはおそらくないだろう。 LoVIIになり、アルティメットスペルが登場。彼の特殊技で封じられるのはこの内のサクリファイス系統のみとなってしまった。つまり、リターンゲート、シーリング、キュアオールなどを相手が登録していた場合、この使い魔は完全なバニラと化す。 ナーガ (C) No 178 名前 ナーガ コスト 15 種族 海種 HP 460 ATK 30 DEF 50 移動速度 2 攻撃対象 単体 攻撃属性 炎 弱点属性 雷 スキル サーチ・ゲート 特殊技 クリムゾンツイスター 分類 罠 特殊技効果 マップに炎属性ダメージのトラップを仕掛ける。トラップの範囲内に敵がいた場合、全てに炎属性のダメージを与える。(トラップセット後、一定時間を待ち、再度特殊技ボタンを押すことにより発動) 効果範囲 自分中心・円状 イラストレータ 緑川美帆 DATA 全長 5.0[meter] 脱皮したての新兵ども! 海兵とは何かを教育してやる!絶対かなわぬ空の敵! だがあいつは立ち向かった!波間から躍り上がり、敵のエースに食らいついた!敵は慌てて空に逃げ、それきりあいつも帰ってこない!だがあいつの墓はない! 我らナーガ海兵隊にとって、あいつは五千年間、空中戦を継続中となっているのだ!―アムリト遺跡の解読困難な碑文より 重量 800[kg] 最速 80[km/h](水中) 生息域 マゼンタ諸島近海 宿敵 ガルーダ 補食対象 生きている獲物 コメント 海種速度2編成でお勧め出来る。待望の炎属性、炎罠持ちの使い魔。 基本、玄武に近いものがあるが、こちらは防御寄り。 残念ながらシールドはないが、スキルも2つ持っている。 他のシールド持ちと組み合わせるのがいいだろう。 特殊技の効果範囲は狭いが、速度2の罠の威力は抜群。 弱点ダメージが緩和されたと言え、超亜が踏んだらほぼ蒸発する。 欠点の攻撃力不足は、トリトンと組ませて解消しよう。 (お勧め使い魔:ウォーターリーパー・スヨトロール・トリトンなど) ちなみにナーガは本来半身半蛇の姿とされているが、 法華経が古代インドから中国を経て日本に伝わった際に、 ナーガラジャ(ナーガの王)が八大龍王という龍の姿となり、一般的なイメージとなった。 シュクラケン (C) No 179 名前 シュクラケン コスト 20 種族 海種 HP 500 ATK 45 DEF 50 移動速度 3 攻撃対象 単体 攻撃属性 撃 弱点属性 雷 スキル ゲート 特殊技 スプレッドボム 分類 攻撃 特殊技効果 範囲内の敵全てに撃属性のダメージをあたえる。 効果範囲 前方円形 イラストレータ タカヤマ トシアキ DATA 全長 50.0[meter] 見張りが叫んだ。「あの島を見ろ! 黄金でいっぱいだ!」水夫長が叫んだ。「あの島を見ろ! 美女が手招いてる!」船長が叫んだ。「上陸するぞ! この発見は勲章ものだ!」生き残ったのは年寄り水夫。海に飛び込み、泳いで逃げた。「みんな自分の夢をぶら下げられて、誘われてっちまった。あれが島なんかじゃねぇのはすぐにわかったさ。なにせ手招きしてやがったからな。何年も前にこの手で殺した女房が…」 重量 不明 移動力 潮流次第 生息域 北方の海 知性 極めて高い 補食対象 近づくものすべて コメント コスト20の撃属性・複数ダメージ持ち。 機動力・コストはアクアライダーに劣るものの、こちらは頑丈。 速度4にこだわらなければ使い勝手は良い。 ゲストで亜人マジシャンを連れてきたり、全て撃属性にした対魔種編成を作ってみるのもおもしろい。 ローレライ (C) No 180 名前 ローレライ コスト 10 種族 海種 HP 380 ATK 30 DEF 45 移動速度 4 攻撃対象 単体 攻撃属性 撃 弱点属性 雷 スキル - 特殊技 アシストコーラス 分類 強化 特殊技効果 範囲内の味方1体の防御力を一定時間、大幅に上げる。 効果範囲 前方円形 イラストレータ 駒田 絹 DATA 全長 1.9[meter] 恋人の裏切りに世を儚んだ絶世の美女は、岩山の上から身を投げて、男を惑わす水妖に変じたという。きっと、まだその男のことが恋しいんだろうね。男全てへの復讐に執着するほど、想い続けているんだもの。羨ましさを感じたりするのは、他人事だからなのかな。―――まじめだけが取り柄の三十路男 重量 120[kg] 最速 60[km/h](水中) 生息域 ラインの流 趣味 歌 大事なもの 黄金の櫛 コメント ver1.2で追加された待望の速度4の海種10コス。 韋駄天編成に入れやすいのは大きいが、スキルがないのが痛い。 特殊技は種族に関係なく3Cの間、防御力を40上昇させるもの。 テティスの特殊を最速で、誰にでも使える表現がわかりやすいだろうか。 ただ、VER1,3からDEFが高くなると大幅下方修正が入るようになった。 その為、わだつみ・テティスなど高DEF持ちと相性が悪くなったと言える。 DEFの低い主人公や長持ちさせたい使い魔、海種韋駄天のお供にお勧め。 ブージャム (C) No 181 名前 ブージャム コスト 10 種族 海種 HP 400 ATK 30 DEF 40 移動速度 2 攻撃対象 単体 攻撃属性 撃 弱点属性 雷 スキル サーチ・ゲート 特殊技 耐電コーティング 分類 強化 特殊技効果 範囲内の味方一体が雷属性の攻撃に対して、一定時間無敵になる。 効果範囲 前方円形 イラストレータ 前河 悠一 DATA 全長 一定しない お前と俺が、同じ形、同じ色、同じ匂いでものを感じていると証明することはできない。「あれ」の存在を証明するなんて、誰にも出来はしない。だが、わかるよ。俺は、信じるよ。「あれ」とあったものだけがするその表情。あの時の俺の顔と、そっくり同じだもん。 重量 一定しない 生息地 心の隙間 武器 不安を煽る 繁殖方法 不明 補食対象 困惑した感情 コメント 紫色のスライム。 脚の遅さはともかく、コスト10で単体属性無敵は強力。 速度を犠牲にしても良いなら、高コスト使い魔の護衛に最適。 ただ、コスト15で全体雷無効のハイスペック使い魔のRケートスや同コストで同じ特殊技を持つ速度3シールド持ちのローパーが登場。 使い勝手は劣るものの、スキル二つ持ちと属性の違いから、編成次第ではまだ十分使っていける。 余談 元ネタはおそらくルイス・キャロルの書いた「スナーク狩り」という長編の詩に登場する怪物。 しかし、その詩のほとんどがナンセンスで構成されているため、「スナーク狩り」に登場するブージャムがどのような怪物かは不明。 ルイス・キャロルと言えば「不思議の国のアリス」を書いたことで有名で、最近では彼の考えたキャラクターがゲームなどに引用されることも多いが、 多分、アリスより先にブージャムが登場するゲームはlovだけである。 スタッフに、ルイス・キャロルのファンが居たのだろうか? 海種 Ver 1.0 海種 Ver 1.1 海種 Ver 1.3 海種 Ver 1.4 コメント *編集が苦手な方はこちらへ情報提供お願いします 憤怒・・・オナ兄とは比べられないって事ですね -- (名無しさん) 2009-03-09 01 54 22 憤怒のコメント長すぎwあと60複数のリヴァイアサンが居るじゃないか -- (名無しさん) 2009-03-09 01 56 55 リヴァイアサンはニコ動に上がってる勝率4割ていう題名のを見てみれば中々良さが分かると思う -- (名無しさん) 2009-03-09 02 53 18 憤怒・・・・使われない使い魔の考察が使われる奴の倍以上か・・・・、海は愛されてるな -- (名無しさん) 2009-03-09 02 54 35 【優雅】ポセはちょっとした壊れの予感。効果時間次第では…まぁどうせ即修正乙だが -- (名無しさん) 2009-04-02 11 29 05 【】ポセ特殊もいいけど4速でC20炎40複のところが個人的には嬉しいな。デッキの幅広がりそうだわぁ -- (名無しさん) 2009-04-02 19 59 32 新ポセは炎複数ATK40DEF40スキルなしだったか。テティスと合わせると50コスがスキルなしになるのか…。4速行動したいけど海に4速サーチって何が居たっけ。海神と水乗り少女は覚えてるけど。 -- (名無しさん) 2009-04-02 20 37 09 試した人に聞きたいのだけど、防御補正って、スキルで増やしたぶんも効果対象?たとえば相殺波紋とか、アシストコーラス併用しても、前ほど効果なし? もしそうならスキル自体が死にスキルになりかなねないのだが。。。 -- (名無しさん) 2009-04-26 03 53 36 ↑乱戦状態だったんで微妙なんだが、波紋+アシスト状態のテティスが弱点突かれずに殴られて2桁くらったよ。そんでも10〜20くらいだけど。 -- (名無しさん) 2009-04-28 05 41 04 主にver1.3対応の文章を、色々追加しておきました。 -- (名無しさん) 2009-06-01 07 38 57 名前 コメント すべてのコメントを見る
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/8068.html
前ページ次ページゼロと電流 ルイズ、アニエス、アンリエッタは一つのテーブルを囲んでいた。 食事ではない。 三人の真ん中には、小さな銃弾が置かれていた。 「これが、弾?」 アニエスは自分の使用している銃の弾をそこに並べていた。 「似ても似つかないな」 「ハルケギニアの銃と、ザボーガーの速射破壊銃を一緒にされても困るわ」 「確かにそうだが」 アニエスは速射破壊銃の銃弾を手にとって、頭上にかざしては見つめる。 「土くれのフーケのゴーレムをあっさりと破壊したと聞いたが、それほどの力が込められているとはな」 「その銃弾そのものにはそこまでの力はないわ。確かに、ハルケギニアの銃弾よりは強いけれど」 ルイズの言葉を聞きながら、アンリエッタは速射破壊銃の弾をアニエスから受け取る。 「それにしても、ずいぶんと精密に作られているようですね。これと全く同じ形のものが、ザボーガーの中に百以上とあるのでしょう?」 「ですが、数に限りあることに違いはありません」 「出来る限り協力しましょう。ですが、数をこなすことが出来るかどうか」 土メイジによる錬金で銃弾を作る。それがルイズの出したアイデアだった。 量産はきかないが、時間さえかければある程度の数は揃えることが出来る。 ザボーガーの記憶の中でのΣ団や恐竜軍団との戦いの様に、毎回毎回速射破壊銃を使うことはルイズも諦めていた。もっとも、普通のメイジや騎士相手であれば、ブーメランカッターとチェーンパンチでだいたいは相手できる。速射破壊銃が必要になる戦いというのは滅多にないはずだった。 そもそも、速射破壊銃の破壊力は銃弾の力ではない。 元の世界で言うならば、ダイモニウムエネルギー(怒りの電流)を付与することによって破壊力を爆発的に上昇させていたのだ。 ハルキゲニアで言うならば、ルイズの虚無魔力である。 つまり、きちんと放つことの出来る銃弾さえ作れば、攻撃力は魔力で嵩上げできるのだ。 これは、ブーメランカッターやチェーンパンチにも同じ事が言える。 それぞれの切れ味、破壊力、速度、全てが虚無……あるいはダイモニウムエネルギー、怒りの電流によって増幅されるのだ。 「あとは整備の問題ですけれど、致命的な破壊さえなければ、私のガンダールヴのルーンと虚無魔法〈記録〉で得た知識で何とかなると思います」 言いながらも、ルイズの表情はやや暗い。 アンリエッタが指摘すると、ルイスはすぐにそれを認めた。 「本当に壊れてしまった場合、私の知識では修理は出来ません。いえ、多分、ハルキゲニアの全ての知識を結集しても無理でしょう」 「その可能性はどれほどなのだ?」 アニエスが尋ねた。 「修理が難しいとはいえ、それほどに破壊されるには、どれだけの攻撃を受ければいいのだ?」 「それはわかりませんが、少なくとも、私の虚無魔法ならばザボーガーを破壊する可能性があります」 くわえて、自分の母ならばそれほどの打撃を与えることも可能かも知れない、とルイズは考えていた。 そのときだった。 アニエス配下であり女王直属の部隊である銃士隊の一人が姿を見せる。 その急いで駆けつけた様子に、何があったのかと尋ねるアニエス。 銃士隊員は一瞬、ルイズとアニエスの姿に目を止めるが、アンリエッタは構わず話せと命じた。 「姫様に至急お目通りを願いたいと、二人連れが」 「こんな時間に?」 アニエスは苛立ったように尋ねる。 「何者だ」 「それが、一人は騎士の姿を。もう一人は平民の姿ですが、妙なものにまたがり……」 「妙な?」 「ミス・ヴァリエールの使い魔に似ていましたが」 「なんだとっ?」 「烈風よりの危急の用件といえば通されるはずだ、と申しておりますが」 アンリエッタとルイズは顔を見合わせる。 烈風の名に二人は心当たりがあった。いや、ありすぎた。 ルイズの母カリーヌのかつての異名、烈風カリンである。 烈風カリンの名を知らぬトリステイン貴族はいないと言っていいだろう。その正体は不明とされているが、まさに一騎当千、かつてトリステイン最強の騎士と呼ばれたメイジである。 そして、烈風カリンがカリーヌであることを知るものは少ない。 「二人を通しなさい。それから、マザリーニをすぐここに」 「はっ」 アンリエッタの応えにルイズは一瞬言葉を失い、蒼白となって辺りを見回す。 「お、お母さまが……」 「ルイズ、諦めなさい」 「で、でも、姫様」 「一緒にお叱りを受けましょう。幼い頃の様に」 「一緒に?」 「貴方をアルビオンへ送った私の責、無視するわけにはいきませんから」 「それは私が」 「ルイズ、私に恥をかかせるつもりですか?」 あくまで優雅に、アンリエッタは立ち上がる。 「幼馴染みを死地へと送り込んだうえ、そのことに気付かずにいた、と私に言わせるつもりですか?」 「それは」 「親友を死地へ送る非情と死地と知らずに送る無知。選ぶとすれば私は、前者の罪を選びます」 国を治める者として許されざる罪は後者。アンリエッタはそう言っていた。 選ばれるべきは前者であって後者ではない。 「非情を糾弾されるなら、私は甘んじて受け止めましょう」 「では、その策を進言したのは私と言うことで」 マザリーニが、寝起きとは思えぬきちんとした姿で現れた。 「もっとも、烈風カリンともあろう者がそれだけのためにこの場に姿を見せるとも思えませんが」 「睡眠時間の確保は大切ですよ」 「同じ言葉をお返ししましょう。ですが、お気遣いには感謝します」 マザリーニは寝ていないのだろう。おそらくは何らかの事態を予測して待機していたか、あるいは自室に籠もって書類を弄っていたか。 銃士隊に先導されたカリーヌが姿を見せたとき、思わずルイズは声を上げる。 「シエスタ?」 カリーヌの後ろで怯える様に辺りを見回しながら従っているのは、他でもないシエスタであった。 「ルイズ様?」 「どうして、シエスタが?」 そのやりとりが目に入らない様に、カリーヌはアンリエッタに挨拶を述べた。 それは、ラ・ヴァリエール公爵夫人としての挨拶ではなかった。あくまでも元マンティコア隊隊長、烈風カリンとしての挨拶である。 「くだくだしい挨拶は止めましょう。烈風カリンの名を出すと言うことは、真の緊急事態と言うことですね?」 「はい」 「それで、彼女は?」 シエスタに目をやるアンリエッタ。 シエスタはルイズの姿に驚き、ついで安堵していたが、トリステイン王女を目の前にしていると気づき、慌てて平伏している。 「名はシエスタ」 そしてルイズは次のカリーヌの言葉に、心の底から驚くことになる。 「彼女は、アルビオンの虚無の使い魔ヴィンダールヴ。そして異世界のゴーレム、マシンホークの主でもあります」 アルビオンの革命は終わった。王国は滅び、新たに神聖アルビオン共和国が誕生した。 そして、初代皇帝クロムウェルは告げる。 我に他国への侵略の意志なし。我は腐りきった王家へと誅を下したのみである、と。 だが、その言葉がクロムウェルのものでないと知る者は少ない。いや、クロムウェル自身が既に死人だということすら、知るものは殆どいないのだ。 「糸を引いていたガリアですら、知っている者はそういないだろう」 確実に知っているのはシェフィールドのみ。とワルドは指を一本立てる。 シェフィールドがジョゼフに伝えているかどうか、それすら定かではないのだ。 「ガリアの王家は、親子仲が良いという状態にはほど遠いと聞いているからね」 シェフィールドの正体がジョゼフの娘、ガリアの姫であるイザベラ自身であることを、ワルドは知っている。 そして、クロムウェルがワルドの傀儡であり、アンドバリの指輪が今やワルドの手にあることをイザベラは知っているのだ。 勿論、互いに口にしたわけではないし、確たる証拠を与えたわけでも得たわけでもない。それでも、それらの事実は互いにとっての密約の証、あるいは質草となっていた。 「私には、首根っこを掴まれているようにしか見えないのだけれど?」 事情は、マチルダにもわかっている。 イザベラがワルドの味方になったのではない。今現在の仮想敵が同じ相手、ガリア王ジョゼフであるというだけだ。 ジョゼフが倒れれば、イザベラはあっさりとアルビオンの内情を暴露するだろう。おそらくは、アンドバリの指輪の現状も含めて。勿論そこには、ガリアの立場を悪くしないための虚偽も含まれるはずだ。 しかし、ジョゼフ失脚がそう簡単にできることだとはワルドもマチルダも、そしてイザベラも考えてはいない。 当面は、同じ敵を持つ者として足を引っ張る真似だけはしない。そういうことだ。 「それで、どうするんだい?」 「マチルダ、君にはフーケの経験を生かして探って欲しいことがある。いや、潜入と言ってもいいかな」 「ガリアかい」 「さすがに、察しが良い」 「何を探るのさ。言っておくが、向こうの使い魔は私の顔を知っているんだよ?」 「それともロマリアがいいかな?」 探る内容にもよるが、選ぶのならガリアだ。 ガリアであれば、トリステインやゲルマニアに入り込む手口が殆どそのまま通用する。 しかしロマリアは駄目だ。あの国は、特別すぎる。普通に入国するのは一番楽だが、間諜として入り込むには通常の手段では難しい。 「今更、何を調べる気だい。時間を稼げば勝てる。そう言ったのは誰だっけ?」 「勝ち負けだけを競うのなら、充分に勝てるとも」 あの日、監獄から連れ出された夜にフーケはワルドの計画を知らされた。 そしてその証拠も目にした。少なくとも、ワルドの計画に理屈は通っていたのだ。 だからこそ、フーケはワルドに従っている。 逃げ出すだけなら簡単だろう。ティファニアや子供達の新しい居場所ももしかしたら見つかるかも知れない。 しかしワルドの計画通りならば、この世界に安全な場所はアルビオンしかないのだ。 アルビオンを浮遊大陸としているのは、地中に存在する多量の風石の力によるものである。 では、同じ風石がそれぞれの大陸の各所、地下深くに眠っているとすれば。 ある時期に一斉に風石が活性化し、大陸を持ち上げる力となるとすれば。 そこに生まれるのは大パニックである。 突然、地面の各所が持ち上がるのだ。どれだけの町が、人が、建物が被害を受けるのか。 大陸一つを持ち上げる力に、どうやって対抗できるというのか。 生き残った者、わずかに残された土地でどうやって生きていくのか。 だからこそ、ワルドはアルビオンを奪ったのだ。 その大異変、「大隆起」をやり過ごし、残った世界に覇を唱えるために。 生き延びた貴族を根絶やしにするために。 兵力は無尽蔵にある。 地上で逃げ切れず倒れた者達の死体。アンドバリの指輪でそれらを操れば、労せずして一国の軍が生まれるのだ。 世界を滅ぼす大異変に続く、不死の軍隊による蹂躙。 誰が、その二つに同時に立ち向かうことが出来るのか。 立ち向かうことが出来るとすれば、それこそ伝説の虚無の使い手、そしてその使い魔だろう。 だからこそ、ワルドはルイズを手中に収めようとした。叶わなければ、その命を奪おうとした。 ザボーガーの存在が、ワルドにとっての計算外だったのだ。 それでも、ルイズはただ一人。ザボーガーもただ一台。 それだけの数で何が出来るというのか。 トリステインの虚無はルイズ。彼女は、ワルドの敵に回ったと考えて良いだろう。 ガリアの虚無はジョゼフ。この男は別だ。「大隆起」に気付いた気配はないが、何をするかわからない。下手をすると「気付いていて何もしない」という選択をとりかねない。 ロマリアとアルビオンの虚無は不明。 アルビオンに関しては当てがある。それこそが、ワルドがフーケに接近した理由の一つだ。 ティファニアが虚無に目覚めない限り、ワルドは何をする気もない。ハルケギニアでは一般的な、エルフに対する悪感情はワルドにはない。 虚無に目覚めていれば利用する。目覚めていなければ目覚めさせずにおく。それだけのことだ。 風のルビーと始祖のオルゴールはルイズの手元である。ティファニアがそれを見る機会などない。そして、ハーフエルフとして深窓に隠されていた娘だ。アルビオン王家の血をひくとはいえ、二つの秘宝に触れる機会はなかったはずだった。 少なくとも、フーケはそう断言し、ワルドも納得した。 ワルドは知らない。既にティファニアが虚無の魔法〈忘却〉を手にしていることを。 幼い頃に一度だけ、風のルビーと始祖のオルゴールに触れる機会があったことを。 ただし、フーケは言った。 「あの子も一応魔法が使える。ただし、それはコモンや属性魔法なんかじゃない。先住魔法さ。エルフだけが使えるね」 それは嘘。ティファニアが使うのは紛れもない虚無魔法だ。 そしてそれが、フーケがただ一つ残した切り札であった。 何故か。 タバサはグラントロワの裏へと歩きながら考えていた。 何故、賭け事という形を選んだのか。 ジョゼフは一言言えばいい。 「ザボーガーをルイズから奪い、余の前に持ってこい」 何故、賭け事という形にしたのか。 その必要が何処にあるというのだ。例えそれが嘘であったとしても、解毒薬の存在をここで示してどんな意味がある。 今更、解毒薬の存在に左右される自分ではない。イザベラならともかく、ジョゼフならばわかっているはずだ。 自分の意志など無視して命令すれば…… タバサは思わず立ち止まっていた。 答えが、見えたのだ。 これは、自分の意志。 これが賭け事ならば、ザボーガーを提供しないと言う選択が自分には残されている。 そう、これは賭け事なのだ。負けても構わない。奪われるものはない。 ただ、解毒薬は手に入らない。 タバサは小さく呻いた。 ここにキュルケがいればその耳を疑っていただろう。 それは限りなく呪詛に近い、歯ぎしりにも似た呻き。 タバサは悟った。 自分は今から、ザボーガーをルイズから奪おうとするだろう。 ガリア王に命令されたから? 否。 北花壇警護騎士としての役目? 否。 自分がそう望んだから。 賭の商品を手に入れるために、自分がルイズを裏切ることを選んだから。 これは、タバサの意志なのだ。 「お前は、自分の意志で自分の友を裏切るのだ」 ジョゼフの含み笑いが聞こえた様な気がした。 タバサの足音が荒くなる。 「おやおや、ご機嫌がお悪い様で」 タバサは立ち止まり、声の主に目をやった。 「お久しぶりですね、シャルロット様」 目の前に立つ騎士は、カステルモール。 だが、その声を発したのは違う。騎士の手には、これ見よがしに握られた一本のナイフ。 「地下水?」 「おおっ、やはりおわかりですか、さすがはシャルロット様」 「どっちの使い?」 「いえ。イザベラ様でもジョゼフ様でもありません」 「誰?」 「かつて、リーヴスラシルと呼ばれた御方」 タバサは小さく首を傾げた。 「あるいは、別の世界で魔神三ッ首と呼ばれた御方」 「何の用?」 「貴女とお話がしたいと」 「私に話すことはない」 「復讐を為すための力と機会」 再び歩き始めたタバサの足が止まる。 「三ッ首様が、その二つを貴女に提供したいと」 タバサの一瞬の逡巡に、地下水は言葉を重ねる。 「条件はただ一つ。貴女が三ッ首様に仕えることです」 そして地下水は言葉を繋いだ。 「王女シャルロット様」 「何故、私を」 「それは私にもわかりません」 事実、地下水には知らされていない。 ただ、三ッ首の呟きだけを、地下水は耳に留めていた。 ……新たなメザが、必要だな…… 大門は、二枚の手紙を前に首を捻る。 それは、パリで研修中の新田警部からの手紙だった。 父の旧友であり、ともにΣ団と戦った頼れる上司でもあり、大門とはまるで父と子の様な信頼関係を築き上げていた相手だ。 しかし、その新田警部からの手紙の内容は、あまりにも奇妙なものだった。 【君の父、大門博士からの伝言を伝えたい】 それ自体には何の問題もない。 父からの伝言を新田警部が預かっていた。そこに不自然さはない。強いて言えば、何故今まで隠していたか、ということだ。 そして、新田警部からの手紙に同封されていたのは父からの手紙だった。 【豊、この手紙をお前が読んでいるということは、三ッ首との戦いは終わったのだろう】 大門は思わず声を上げていた。 何故。 悪の宮博士に殺されたはずの父が、何故魔神三ッ首を知っているのか。 【そして、ザボーガーもマシンバッハも、お前のそばから消えていることだろう】 驚きはそれだけではなかった。 大門は、とにかく残りの手紙を読み切ることにした。 【山手台教会へ行け。そして最初にザボーガーと会った場所の、さらに地下を探すのだ。そこで全てがわかる】 ザボーガーが隠されていたのが山手台教会の地下だ。そしてそこは、ザボーガーの初代基地でもあった場所だ。 大門はすぐに教会へと向かった。 ザボーガーが最初に置かれていた秘密ガレージ。大門は、手紙に書かれているとおりに床をこじ開ける。 「……お?」 「そこに誰かいるのか?」 「ああ、もうそんな時間か」 こじ開けた穴から繋がる空間にライトが灯る。 大門は絶句した。 そこに立つのは紛れもない、ザボーガー。 そして、その手には見慣れぬ剣。 「よお、初めましてだな、ダイモンユタカ」 「ザボーガーが話している……わけじゃないな」 「ああ。俺っちは、デルフリンガー。あんたに、会いに来た」 前ページ次ページゼロと電流
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/5960.html
薄暗い部屋の中、外から聞こえてくる剣戟と魔法による爆音に、そこにいる子供たちは、ただ脅え震えていた。 その部屋にはメイジもいたが灯りの魔法をかけようとはしない。灯りに気づいた外の怪物が襲ってくるのを恐れているから。 本当に灯りをつければ怪物が襲ってくるのかと言えば、そうさせないために外ではメイジたちが怪物と戦っているのだが、恐怖は人の冷静な思考を奪う。 「どうしてこんなことになったんだろう?」 ポツリと呟かれた子供の声。 それは、このハルケギニアの誰もが一度は抱く答えの出ない疑問。 その言葉に、部屋にいるピンクブロンドの髪の少女がビクリと震えたことに気づいた者はいない。 超時空放浪の使い魔 「我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール!五つの力を司るペンタゴン! 我の運命に従いし"使い魔"を召喚せよ!」 それが何度目の失敗を経た詠唱なのかは、もはや本人にも分からない。しかし、何度もの失敗の後ついに召喚の門は開き彼女の前に使い魔となるべき存在が現れる。だが……。 「あんた誰?」 自分で呼び出しておいてコレはないだろうと思うが言わずにいられない。 使い魔といえば、普通に思い浮かぶのは黒猫かカラス。凄いものならドラゴンなどの幻獣。しょぼくてもネズミ辺りの小動物だろう。しかし、自分の目の前に現れたのは何なのか。 自分はメイジだと言わんばかりに手には杖を持ち、マントを身につけた冴えない顔に頼りない表情。 粗末と言うほどではないにしろ薄汚れボロボロになった、貴族ならまず着ないような服装の少年。 そんなものが現れて冷静でいられる者がいるわけがない。 「誰って、ヘインって名前の魔導師だけど……」 「魔導師? ってメイジよね。アンタ貴族なの?」 人間を、しかも貴族を使い魔にしたメイジなど聞いた事もない。いったいどういう事なのかと困惑するルイズだったが、ヘインと名乗った少年もまた困惑の極みにあった。 「メイジにはなったことがあるけど、貴族になったことはないよ……」 デーモンロードの召喚に失敗して魔界に連れて行かれなければ、貴族にくらいなれてたかもしれないけど。一応英雄の仲間だし。 呟いた後半の言葉が届く前に、ルイズは怒鳴るように背後に声をかけた。 「ミスタ・コルベール!」 「なんだね。ミス・ヴァリエール」 答えたハゲ頭の中年男子にルイズは要求する。 「召喚のやり直しを要求します!」 「何故そうなるのかね?」 「だって、人間ですよ! それにコイツ貴族の地位を剥奪されたメイジですよ。そんな奴を使い魔にしろって言うんですか!?」 貴族はすべからくメイジであるが、メイジが全て貴族というわけではない。そして、貴族でないメイジはかなりの確率で犯罪に携わっている。そんな者を使い魔にすることを潔癖な少女は容認できない。どうせ使い魔にするなら自分に相応しい神聖で美しくそして強力なヤツがいい。 まくし立てるが現実は無常である。コルベールはやり直しを認めない。 そんな2人のやり取りを見て、少年はふと思いつく。 「えーと、ルイズだっけ? その子は使い魔を召喚したかったんだけど、出てきたボクに不満があるってことだよね?」 横から口を出され不満になるルイズだが、その通りだと頷く。 「それなら、ルイズに召喚されたボクが更に召喚して、それを使い魔にすればいいんじゃないかな?」 「そんなことができるのですか?」 信じられない。と言うコルベールに少年は頷き、「神聖で美しく強力なのがいいんだよね?」と懐から召喚のための道具を取り出す。 「それは?」 「ワセリン」 ペタペタと何かを体中に塗りたくり、今度は鉄アレイを取り出しなにやら呪文を唱えると少年の前方に光が満ち、ソレが現れた。 「これが……神聖で美しく強力な使い魔……?」 「うん」 答える自信満々な少年の前に立つ生き物。それは体長3メイルを超える巨人であった。 ソレはいい。ソレはいいのだが……。 筋骨隆々とした体躯を包むのは、パンツただ一枚。体は何かを塗っているらしくテカテカ艶光り、スキンヘッドの頭を乗せる顔は、何か言いようのない笑みを浮かべている。あと丁度、股間がルイズの顔の高さにあるのがかなりイヤだ。 「却下」 「えー!? 何が気に入らないって言うのさ」 「全部よ。全部! こんなの連れて帰って使い魔だって紹介したら何を言われるか分からないわよ。いっそ、召喚に失敗したって馬鹿にされる方がマシよ!」 「しょうがないな。じゃあ、とびきり最強のヤツを召喚するよ」 不満たらたらの様子で、少年はまた何かを取り出し呪文を唱える。 と、今度は黒い煙が生じ、それが集まり形を作る。そして現れたのは……。 「何……これ……?」 側頭部に曲がった角を生やし、赤く輝く三つ目を持つ髑髏。そんな頭と猛禽のような爪を生やした両手以外を赤き衣で隠した禍々しき巨人。人の身では、けっして抗えない力を内包していることが見て取れるそんな存在。 「混沌の王カオス。分かりやすく言うと全てのモンスターの親玉ってことになるのかな?」 「とんでもないもの召喚するんじゃないわよ! そんなの使い魔にできるわけないでしょ!」 「もう、わがままだな。分かったよ。ボクが召喚できるモンスター全部出すから、好きに選んでよ」 「ちょっ」 止める間もなく、少年は次々と召喚していく。 小さな妖精、巨大な蜘蛛、美しき天使、神々しいドラゴン。他にも様々なものを召喚したあと少年は言う。 「これだけいれば、一匹ぐらい気に入ったのがいるよね。じゃあ、ボクは行くから」 「行くってドコに?」 「生まれ故郷の大陸を探してる旅の途中なんだ。じゃあね。 行くよ兄貴!」 最初に召喚したスキンヘッドの巨人に声をかけると、巨人はイイ笑顔をして少年を持ち上げ。そして飛んだ。 そうして、少年が巨人と共に飛び去り。彼が召喚したモンスターが残され「ちょっと、これどうするのよ」という少女の声は虚空に消えた。 どうしたものかと、少年が召喚したモンスターたちを見回して、ルイズはイヤなことに気づいてしまった。 少年が兄貴と呼んだ巨人以外は皆、虚ろな目でただそこに鎮座していたというのに、彼が去った途端モンスターたちの目に正気の光が戻りはじめたのだ。 光の女神ルシリス。それは、混沌の王と対極に位置する存在である。 ふと気づくと、彼女は見知らぬ地に立っていた。何故こんなところにいるのかと疑問を抱いたが、その疑問はすぐに吹っ飛んだ。 彼女のすぐ側には、自身の大敵たる混沌の王が存在していることに気づき、あちらも彼女を認識してると知ったからである。 「カオス。何故あなたがこんなところに?」 「さあな? しかし、そんな事はどうでもいいことではないのか?」 その通りだ。光の女神と混沌の王は決して相容れない存在であり、お互いを容認することはない。 「そうですね。見れば、あなたは現身のようです。聖剣などなくとも、ここで打ち滅ぼしましょう」 「それは、お互い様だろう」 自分や混沌の王は、簡単に召喚できるような存在ではないが、召喚魔法の使い手が特定のアイテムをそろえた場合、その術者に分身である現身を送ることがある。そうして召喚された存在は普通術者の命令を聞くだけの傀儡のような物なのだが、どうやら今の自分達は、術者の制御を離れ本体の自我を得た状態らしい。 見回すと、同じように召喚されたらしい者達が周囲におり、光の眷属はルシリスの闇の眷属はカオスの周りに集って行き、お互いの王の号令を待っている。 そうして、この地での光と闇の戦いが始まった。 結論から言うと、ここでの戦いは決着がつかなかった。ルシリスにしろカオスにしろその本質は、自身の元で戦う者に力を与える者であって己が戦う存在ではないのである。どれほどの力を持っていても、自身と同格の力を持つ者を倒すことは出来ない。 故に彼らは、この場での決着をあきらめ、自身の加護を受けるに相応しい勇者を求めて去ることになった。 そして、両者が立ち去ったその場には、何事が起こったのか理解できていないルイズたち学院の生徒と、何体かのモンスターの屍が残され、学院はいくらかの調査を行ったが、その時に作られた書類には、ルイズの使い魔召喚の失敗と落第の結果だけが記された。 その後、しばらくしてハルケギニアの様々な地で多くのモンスターが現れ人を襲うようになる。それを指揮していたのは、ガリアの軍であった。無能王と呼ばれた男が、混沌の王と手を組んだのだ。 その強大なモンスターたちの力にハルケギニアは即座に制圧されるかと思われたが、そうはならなかった。 ガリアが混沌の王の力を得たように光の女神の力を得た者もまた現れたのだから。 アルビオン王国皇太子ウェールズ・テューダーである。 貴族派との内乱でもはや風前の灯だと思われた王党派であったが彼らは光の女神の加護を受け力をつけ、またハルケギニア中を襲ったモンスターの標的にはアルビオンも含まれていた。 アルビオンのほとんどを制圧していた貴族派はモンスターの対応に追われ、いつしか光の女神の加護を受けた王党派に押し返され王国の支配権を奪い返されていた。 そうして、ハルケギニアは、光の女神の加護を受けたアルビオンと混沌の王と契約を結んだガリアの二国による戦場になるかと思われたが、そこにロマリアが横槍を入れる。 ブリミル信仰以外を認めないロマリア教皇は、光の女神を認めず、アルビオンもガリア同様滅ぼすべき敵だと断じたのだ。 こうしてハルケギニア全土を巻き込む戦争が始まり、三国以外の国は、モンスターに襲われてもブリミルを信仰するが故にアルビオンに助けを求めることができず、自国の軍にのみ頼り脅える生活を強いられることになったのであった。 ぶっちゃけルイズのせいである。 その後、トリステイン王女アンリエッタがウェールズ王子と結ばれ、アルビオンとトリステインが同盟を組んだり、ルーンストーンを使いまくって火水土風の全ての属性のスクウェア・スペルを使いこなし1人でヘクサゴン・スペルだって使えるようになったウェールズがカオスを倒し、最終的には滅んだロマリアやガリアを支配する偉大な王になるのだが、それは別の機会に語られることもあるだろう。
https://w.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/2236.html
“何の為に戦うの?”誰かがそう訊ねた。 人が憎いから? ―――違う。人を憎みきれる筈などない。 判ってしまった、自分は人に寄り添わねば生きていけない。 たとえ一匹で生き抜く力があろうとも誰かに傍にいて欲しい。 人に嫌われようとも傷付けられようとも、それは変わらない。 生き残る為? ―――そう。ずっと在ったのにその価値に気付かなかった。 命は掛け替えの無いものだと、世界には命が満ちていると、 初めて出会ったあの日に彼女が教えてくれた。 彼女を守りたいから? ―――そう。だけど守りたいのはルイズだけじゃない。 彼女が守りたいと思うもの、自分が守りたいと思うものの全てを。 後悔はしない? ―――きっとすると思う。何もしなくても後悔する。 ルイズを連れてどこか遠くへ逃げても後悔する。 だけど決めたんだ。彼女の温もりに包まれた時から、ずっと。 彼女の使い魔になるって、他の誰にでもなく自分に誓ったんだ。 “ああ、僕達は似たもの同士だ”誰がそう答えた。 僕も一人では生きていけない。 共に生き残る為に戦い続ける。 そして、君と君の誓いを守りたい。 さあ一緒に行こう。僕達は決して負けない。 何故なら僕等は最強の生命力を持っているのだから……。 蒼い獣が咆哮を上げる。 それは先程の紛い物とは比較にさえならない。 天敵の存在しない火竜でさえ未知の恐怖に竦み上がる。 ニューカッスルでの戦いを生き延びた兵達は瞬時にして恐慌状態に陥った。 怪物の出現に戦場の空気が変貌する。 心臓の鼓動が乱れるように戦場が震撼した。 人は目前に無視できない恐怖が迫った時に取れる行動は二つしかない。 そしてアルビオン兵達は逃避以外の手段を選択した。 押し寄せる津波の如く軍靴の音が響く。 手には銃を、口々に獣の咆哮に似た雄叫びが上がる。 脅威を排除する。敵わぬと理解しながらも彼等は止まらない。 一方、突然の“バオー”の出現にトリステイン軍は戸惑っていた。 アルビオンと違い、その存在を知っているのは一握りの人間だけ。 それに戦場に現れた異形の獣を味方だと誰が思えるだろうか。 しかし敵は磁石に引き付けられる砂鉄のように彼へと向かう。 どうするべきか分からないまま、蒼い獣の情報だけが戦場を駆け巡る。 そして、それは彼を知る者達の下へと届けられた。 「なんですって! ルイズの使い魔が!?」 「理由は判りませんが……好機と見るべきか、あるいは」 声を上げるアンリエッタの横でマザリーニは顔を顰めた。 確かに、この戦況では少しでも戦力が欲しい。 ましてや、それこそ戦局を一変する力ならば尚の事。 だが、もし仮にその力がアルビオン軍を一蹴するほどの物だとしたら。 軍事強国である、かの国でさえ太刀打ちできないような怪物だったなら。 ……我等が杖を向けるべきはアルビオン軍ではないのかもしれない。 我々がハルケギニアの大地に在り続ける為に。 「来たか!」 彼が来る事は分かっていた。 それは限りなく確信に近い感覚だ。 ミス・ヴァリエールがいるなら彼が必ず駆けつける。 たとえ地上と空に切り離されようとも、 水の檻の中に囚われようとも、二人を引き離す事は出来ない。 だから驚く必要も無い。これは当然な事。 なのにアニエスの口から漏れたその声は自分でも分かるほどに興奮していた。 ああもう。笑いたければ笑え。 彼が来てくれて私は嬉しい。心からそう感じている。 感情的になるのは軍人として未熟だと分かってる。 なのに、その感情は今は抑える事が出来ない。 トリステイン軍の戦力としてではない。 共に旅した仲間との再会を私は喜んでいる。 「……聞こえる」 敵味方が入り混じった最前線に立つギーシュが呟く。 目の前で飛び交う銃弾には目もくれず、背後へと振り返って遠くを見つめる。 その上がりかかった彼の頭を抑えながらニコラは叫ぶ。 「何がです!? 自分には砲声と銃声の大合唱しか聞こえませんぜ!」 「間違いない、今度は本物だ。どうして彼がここに…?」 「誰です? 援軍ですか?」 ルイズの言葉が正しければ彼はここには来れない。 だけど戦場に響く咆哮は間違いなく彼のもの。 困惑の様相を強めていく上官にニコラは訊ねた。 「ルイズの……いや、僕たちの大切な“仲間”だ」 彼へと振り向きながらギーシュは笑みを浮かべて訂正した。 「きゅいきゅい! やっと来たのね! 遅いのね!」 まるで寝坊で遅刻した友達を怒るようにシルフィードは言った。 事情を知らない彼女達には何があったのかなど知る由も無い。 これでやっと肩の荷が下りると安堵の息が漏れる。 「……………」 しかしタバサの疑問は晴れない。 何故、彼が今まで出てこなかったのか。 何故、今になってようやく姿を見せたのか。 思考のパズルが完成しないのは必要なピースが足りないから。 自分の知らない所で何かが起きている、タバサはそれだけを感じ取った。 そして、もう一つ。 彼が運んできた大砲じみた巨大な包み。 見覚えの無い筈のそれにタバサは反応を示した。 あるいは彼女は気付いていたのかもしれない。 それが自分達の、彼の運命を決定付けた物だという事に。 「ああ! また美味しいところ持って行かれちゃったじゃない!」 跨ったフレイムの頭をぺしぺしと悔しげに叩きながらも、 キュルケの顔に浮かんでいたのは紛れもなく笑みだった。 その主の気持ちをフレイムは痛いほど理解していた。 まあ、実際に痛いのは頭を叩かれているからなのだが。 戦友が戦場に舞い戻ってくれたのは嬉しい。 だが、そこが戦場であろうと社交場であろうと人の視線を集めずにいられぬ。 それこそがフレイムの主の誇るべき気性だ。 しかし悔しいぐらいにあの蒼い影は戦場に映える。 幾百もの兵士も彼の障害たり得ず、あの火竜でさえ頭上を飛び交う事しか出来ない。 同じ使い魔として彼の事を誇りに思える。 ふんぞり返った火竜山脈の暴君達よ。 よくその目に焼き付けろ。 恐怖を知らぬお前達を慄かせる彼こそ我が友にして―――。 「さあ行くわよフレイム! こっちも派手に暴れるわよ!」 「きゅるきゅる!」 主に力強く答えてフレイムは戦場へと飛び込む。 そう、ここで彼の活躍を見守る訳にはいかない。 主とミス・ヴァリエールがそうであるように。 彼とは終生の友であり―――決して負けられぬライバルなのだから。 響く遠吠えと兵士達の口々に上る噂に耳を傾けながら、 ルイズは呆然と立ち尽くして呟いた。 「……なんで」 十分すぎるほど彼は戦い、そして傷付いた。 使い魔の責任と義務を彼は果たした。 だから、私の事は忘れて自由に暮らしていい。 帰れる場所があるのだから帰らなきゃいけないんだ。 もう私には彼にしてあげれる事はない。 返しきれないぐらい何度も助けられ、それなのに彼を裏切った。 「……なんでよ」 それでも私はあいつに生きていて欲しかった。 たとえ嫌われようとも蔑まれようとも構わなかった。 それ以外に、彼には何もしてあげられないから。 痛みも悲しみを堪えて戦う姿を見たくなかったから。 我が儘でいい。掛け替えのない大切なものを守りたかった。 「相棒も同じだったのさ」 彼女の耳に届くようにデルフは告げた。 ルイズが彼の事を想うように彼もルイズを愛していた。 誰からも愛されず、愛する事さえ知らず、 物として扱われてきた彼にとってルイズは唯一の存在だった。 だから応えるのだ、己の全てを以って。 ルイズの瞳から大粒の涙が零れ落ちる。 互いに通じ合いながらも交差する事のない想い。 嬉しさと悲しみが入り混じり彼女の内で溢れていた。 バオーの咆哮が再び戦場を揺るがせる。 蒼い体毛が風に靡くと同時にアルビオン兵に放たれた。 それは次々と銃に突き刺さり瞬時に燃え上がらせる。 尚も剣を抜き向かってくる者達を見据えて牽引索を咥える。 次の瞬間、大きく弧を描いてソリが兵達を襲う。 兜の上で鈍い音が響き、彼等はその場に悶絶した。 頭上から押し寄せる火竜の炎を避け、彼は倒れた兵から剣を奪う。 猛獣さえも振り回す首の力で投擲を放つ。 それは火竜の翼を捉え、平衡を失った竜騎士は地上へと落ちていく。 「っ…………!」 ワルドの奥歯がギシリと歪な音を立てて噛み締められる。 目の前の光景に彼は失望さえ感じていた。 それはアルビオン兵達を指しての言葉ではない。 彼等が束になろうともバオーに勝てないのは分かりきっていた。 だがバオーの、あの無様な姿はなんだ? 離れた敵を焼き殺し、近づく物を切り伏せ溶解する。 竜さえも己が体より発する雷で屠る怪物。 それこそ稲を刈り取るように相手の命を絶つ事が出来るというのに、 何故あの程度の敵に手間取る? それはまるで敵の命を気遣うかのような甘い戦い様。 ニューカッスル城での戦いで体験した恐怖を微塵も感じない。 ワルドの胸に怒りが込み上げてくる。 この程度の敵ではない、自分が倒そうとしているのはもっと巨大な敵なのだ。 世界を滅ぼす魔獣、殺戮を行なう為に作られた純粋な兵器。 そうでなければ自分は一体何の為に…!! 「……殺す前に貴様の化けの皮を剥いでやる。 目の前で仲間の四肢を引き裂かれれば考えも変わるだろう!」 憎々しげに吐き捨ててワルドは風竜と共に宙へと舞う。 しかし、その行く手を複数の艦艇が遮った。 舌打ちしながらワルドは彼等が過ぎ去るのを見送る。 「砲門開け! あの獣を討つぞ!」 「しかし当該空域にはまだ戦闘中の火竜が…」 「構うな! アレを討てるなら安いものだ!」 艦長と副長の口論が艦橋に響き渡る。 まるで親の仇にでも出くわしたかの如く、艦長は船を急かす。 だがニューカッスル城での一方的な殺戮に憤慨を感じたのではない。 彼を打ち倒す事で得られる名誉と地位に目が眩んだ結果だった。 左右両舷には同様の考えで動いた艦の姿が見える。 先を争うようにして進む複数の艦艇。 彼等とて無策で挑むわけではない。 あの雷は脅威に成り得ないと判断したからだ。 雷は空気中で分散される。 それは距離が伸びるほど明確になってくる。 ましてや巨大な船体を焼き払うとなれば、どれほどの力が必要だろうか。 現にアルビオン行き来する船にも何度か雷は落ちた事があるが、 それも全体へと拡散し、船体の表面を焦がすか燃やす程度。 強力な魔法として知られるライトニング・クラウドでさえ、 近距離で、しかも火薬庫を正確に撃ち抜かねば軍艦は沈められない。 砲口が一斉にバオーへと向けられる。 絶え間なく降り注ぐ砲弾は再生の時間さえ与えず、 彼を細切れへと変える筈だった。 それを視界の端に収めながら、バオーは包みに前脚を掛けた。 引き裂かれた布の下から出てきたのは無骨な金属。 そこから見える千切れたコードに噛み付いて中身を引き起こす。 そして前足で完全に固定して彼は狙いを定める。 体内に電流が駆け巡るのを感じながら、 地上から放たれた光が天を貫くのを、彼は見届けた。 かつて自分の仲間を撃ち、そして自分に向けられる筈だった光を。 「へ?」 間の抜けた船長の声。 袈裟切りに振り下ろされた光が船体を横断する。 その直後、まるで巨大な剣で切られたかのように軍艦が両断されていた。 彼等を乗せた艦橋が地面へと吸い込まれていく。 慌ててレビテーションを唱えながら、彼等はその光景を目の当たりにした。 最強と謳われたアルビオン艦隊が次々と光に貫かれて落ちていく悪夢を。 「……“光の杖”」 空を見上げたまま誰もが言葉を失う中、ただ一人グリフォン隊の衛士が呟く。 光を目にした時から、無くなった筈の指先が酷く痛む。 忘れようもない、天を突く一条の光。 あまりにも神々しく、まるでそれは誰かの魂が天に召されていく姿に思えた…。
https://w.atwiki.jp/lord_of_vermilion/pages/235.html
デッキ名 [[わだつみ主体ランカーデッキ]] ・メインPT わだつみ マカラ アクアライダー ・サブPT みずち ニクサー 解説 ランカー型の神族メタ強力デッキ。アルカディアなどの雑誌にも載ったデッキ。 攻撃属性は闇に偏っている。 さらにプレイヤー闇レイピアOK3神単ウマー。撃武器にすれば魔種とも戦いやすい。 みずち&ニクサーのおかげでライン上げたまま攻めることも可能。 このデッキへの対抗策 共通 シールドを封印して、アルカナ制圧に走る。あるいは、最初のぶつかり合いでわだつみを潰す。みずちがいれば、そちらを潰した方が、回復しながらうろつかれる心配はなくなる。 以下、種族ごとの対策 神族 オーディン・ゼウス・セルケト&ユニコーン・愛染明王といった面々がいれば戦いやすいが、相手は闇だらけ。アルカナ制圧が安全策か。 魔種 撃はそれほどいないため、うまく立ち回れば戦闘でも優位に立てる可能性がある。ただし、魔種の戦闘向き使い魔はスキル無しが多いため、移動速度でかき回されてゲートなどを封印されないように注意。また稼動時から使用率トップのサキュは戦闘でも重要な役割を持つため、落とされないように注意。エキサイトキッスの打ち所にも注意。距離が開いていると逃げられる。 超獣 相手に炎属性はない可能性が高いが、こちらも雷がない可能性が高い(クァールのみ)。そして何よりスキル持ちが全然いないといっていい数なので、ゲート・シールド封印に注意。 亜人 属性は超獣と同じ。超獣よりスキルはマシだが、主力となりゆる使い魔の移動速度が低めなので、移動速度でかきまわされないように注意。 海種 同族であるため、やはり属性で優位に立つのはきびしい。移動速度も互角。アルビオンがいればシールド封印からの逆転が考えられるが、アルビオンがいないとなると、わだつみやリヴァイアサンなどの高コストがいないと戦闘でもかなりの苦戦を強いられるが・・・ 機甲 海種と同じくやっぱり属性では優位に立てない。しかし、罠を当てることができればかなり消耗させることができる。デネブ・アルタイル・ポルックスといったアルカナ持ちを守りきり、アルカナストーンへ猛進すれば・・・勝てるハズ。 不死 わだつみがいる。ただ、それだけで怖い。しかし、シールド制圧からアルカナ制圧を行えば何とかなるハズ、またC使用率最下位(8月23日時点)のゾンビ·ブービーの愛され王スペクターがいれば戦いやすくはなる。使用率貢献にいかがでしょうか。あるいは、ネクロマンサー。 補足 コメント *編集が苦手な方はこちらへデッキ案、訂正指摘等々、お願いします テンプレじゃなくて「わだつみ主体ランカーデッキ」の方が聞こえがいいかと…… -- (名無しさん) 2008-09-19 01 11 44 ↑了解しました。 -- (名無しさん) 2008-09-19 20 17 31 名前 コメント すべてのコメントを見る
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/8348.html
前ページ次ページSERVANT S CREED 0 ―Lost sequence― アルビオン空軍工廠の街ロサイスは、首都ロンディニウムの郊外に位置している。 革命戦争の前からここは、王立空軍の工廠であった。したがって、様々な建物が並んでいる。 巨大な煙突が何本も立っている建物は、製鉄所だ。その隣にはフネの建造や修理に使う、木材が山と積まれた空き地が続いている。 そして、一際目立つのは、赤レンガの塀に囲まれた大きな建物、そこは空軍の発令所であった。 そこには誇らしげに『レコン・キスタ』の三色の旗が翻り、そのすぐ横に併設された造船所では天を仰ぐばかりの巨艦が停泊している。 雨よけの為の布が、巨大なテントのように、改装工事を終えたばかりのアルビオン空軍本国艦隊旗艦『レキシントン』号の上を覆っている。 全長二百メイルにも及ぶ巨大帆走戦艦が、これまた巨大な盤木に乗せられ、明日の演習に備え、装備の点検と物資の搬入、整備が行われていた。 「アルセナーレか、随分とでかいんだな」 「アルセナーレ?」 そんな造船所を囲む赤レンガの塀を見上げていたエツィオが呟いた。 「俺の国の言葉で、こういう場所を差すのさ。兵器工廠とか、こういった造船所とかな。 ヴェネツィアのが有名なんだが……生憎、まだ行ったことがなくてね、こうして見るのは初めてだ」 デルフリンガーの問いに、エツィオはそう答えると、中へと続く正面の門を見つめる。 ……やはりというべきか、門の前には衛兵の一団が睨みを利かせている。 出入りを許されている筈の荷物持ちの人夫や作業員にすら厳重なチェックを行っているため、 人込みに紛れて侵入、というわけにはいかなそうだ。 エツィオは少し考えると、他に出入り口は無いか探すために塀を沿う様に歩きはじめる。 革命戦争時の傷痕だろうか? 塀は所々崩れている場所がある、よじ登ることはできないことは無いが、 塀の上には歩哨が巡回しており、乗り越えての潜入は少々難しいだろう。 そうやって塀の外側を歩き、やがて人通りの少ない通りに入る。 建物の西側に位置しているために日中でもあまり日が差さないその通りに、エツィオの望んでいたものがあった。 裏口である。扉の前には、メイジの衛兵が一人、通りを歩く人物に不審な人物がいないかどうか監視していた。 裏口の警備を担当していたメイジの衛兵は、こちらをちらと見ると、腰に下げた杖に手をかけた。 手配書にある王家のマントが見えないように背にかかっているとはいえ、人通りの少ない路地に現れたエツィオは、やはり彼から見て不審人物なのだろう。 衛兵は直立不動のまま、口の中でルーンを唱え、何時でも呪文を放てるようにこちらを意識している。 だがエツィオは、衛兵に一瞥するわけでもなく、ただの通行人を装い、彼に近づいてゆく。そして何食わぬ顔で彼の目の前を素通りしたその時だった。 ――ちりん……と、衛兵の目の前に一枚の金貨が落ちた。 気がついていないとみた衛兵は、にんまりと笑みを浮かべその金貨を拾い上げた。その瞬間―― 「ぐぉっ……!?」 エツィオは衛兵の心臓に左手の隠し短剣を叩きこみ、開いた右手で即座に背後の扉を開け、 そのまま死体と共に造船所の中に飛び込んだ。 読みは当たっていたようだ、裏口だけあってか、周囲に人の気配は無く、この騒ぎも感づかれた様子は無い。 まんまと造船所への潜入に成功したエツィオは、空の大樽を見つけると、その中に先ほど殺害した衛兵の死体を放り込みふたを閉める。 「さて……」 エツィオは物陰に潜み、巨艦『レキシントン』号へと近づいてゆく。 どうやら監視が厳しいのは正門だけのようだ、造船所内部は見張りがぽつぽつといるだけで、後は多くの整備兵が『レキシントン』号の整備に勤しんでいる。 さらに都合のいいことに、改修も終わって間もないためか、『レキシントン』号の周りには資材や貨物が人の背丈よりも高く積まれたままになっており、 身を隠すために手ごろな物影が多く存在していた。 物持ちの人夫や整備兵達の合間を縫い、時には物陰に隠れながらエツィオは『レキシントン』号へと歩いてゆく。 「おお、これはこれは、なんとも大きく、頼もしい艦ではないか!」 エツィオが『レキシントン』号に近づこうとしたその時であった、この場には似つかわしくない、快活な声が聞こえてきた。 エツィオはすぐさま物陰に身を隠し、声がした方向を覗き見る。 共の者を引き連れた一人の男が、『レキシントン』号を見上げ、仰仰しく声を上げているのが見えた。 「余も近くで見るのは初めてであるが……。この様な艦を与えられたら、世界を自由にできるような。そんな気分にならんかね? 艤装主任……いや、今は艦長であったな、ミスタ・ボーウッド」 「我が身には余りある光栄ですな、皇帝閣下」 もう一人の男が、気のない声で答えるのを見て、エツィオは目を細めた。 「閣下……? なるほど……奴がクロムウェル……」 エツィオは思いがけず現れたレコン・キスタの首魁、神聖アルビオン共和国皇帝クロムウェルを身を潜めながらじっと見つめる。 年の頃は三十代の半ば、高い鷲鼻にカールした金髪が特徴的な聖職者風の男だ。 なんの変哲もない、ともすればどこにでもいそうな男だが、これでもアルビオン共和国の皇帝のようだ。 しかしマチルダによれば、彼こそが失われた系統『虚無』を操り、死者をも蘇らせる力を持っているという。 だとすれば、計り知れない力を秘めたメイジなのだろう、そう考えていたエツィオであったが、やがて妙な事に気がついた。 「ん……? あいつ……」 エツィオはクロムウェルを見て、妙な違和感を覚えた。 確かに腰には確かに杖らしきものを下げている。しかし、エツィオはその杖にあるべきものが見えない事に気がついた。 いや、それどころか、メイジならば見えるはずのものが、クロムウェルからは全く見る事が出来なかった。 「あいつ、メイジじゃないのか……?」 「は? メイジじゃない? クロムウェルがか?」 思わず呟いたエツィオに、腰に下げたデルフリンガーが尋ねる。 エツィオは首を傾げると、クロムウェルから目を離さずに言った。 「『虚無』がそういうものなのだ、と言われたら反論はできないが……、俺が"見る"限り、奴はメイジではない、あの杖はただの棒きれだ」 「ああ、例の"タカの眼"か……ってオイ、そりゃ本当か?」 「……あれは」 エツィオはさらに何かに気がついたようだ、懐から『風のルビー』を取り出し、クロムウェル……いや、正しくは彼の指先を交互に見比べる。 ここからでは僅かにしか確認できないが、クロムウェルの指に、何かが光っている。果たしてそれは、小さな指輪であった。 エツィオから見て、その指輪には強い魔力が宿っているのが見えた。何かのマジックアイテムなのだろうか? 「あの指輪……なんだ? 『風のルビー』とは大分違うみたいだが……ん?」 そこまで言ったエツィオはクロムウェルの傍らに控える、フードを目深に被った男を見た。 あの男……、とエツィオは小さく呟く、その男がメイジであることはわかる、だが、何かがおかしい。 エツィオのタカの眼には、クロムウェルの指先に光る指輪……それと同質の魔力に覆われているのが見える。 クロムウェルの持つ力に関係しているのだろうか? そう考えながら、注意深くその男を観察する。だが、生憎ここからでは顔は見えなかった。 とにかく今は様子を見るべきだ。そう考えたエツィオは、見つからないように注意しながら、クロムウェル達の会話を見守った。 「見たまえ。あの大砲を!」 クロムウェルは舷側に突き出た大砲を指さした。 「余のきみへの信頼を象徴する、新兵器だ。アルビオン中の錬金魔術師を集めて鋳造された、長砲身の大砲だ! 設計士の計算では……」 クロムウェルの傍に控えた長髪の女性が答えた。 「トリステインやゲルマニアの戦列艦が装備するカノン砲の射程の、およそ一・五倍の射程を有します」 「そうだな、ミス・シェフィールド」 ボーウッドは、シェフィールドと呼ばれた女性を見つめた。冷たい妙な雰囲気のする、二十代半ばくらいの女性であった。 細い、ぴったりとした黒いコートを身に纏っている。見たことのない、奇妙ななりだった。マントも付けていない、ということはメイジではないのだろうか? クロムウェルは満足げに頷くと、そんなボーウッドの肩を叩いた。 「彼女は、東方の『ロバ・アル・カリイエ』からやってきたのだ。エルフより学んだ技術で、この大砲を設計した。 彼女は未知の技術を……、我々の体系に沿わない、新技術をたくさん知っておる。きみも友達になるがよい、艦長」 ボーウッドはつまらなそうに頷く、彼は心情的には、実のところ王党派であった。 しかし彼は、軍人は政治に関与すべからずとの意思を持つ生粋の武人であった。 上官であった艦隊司令が反乱軍側に付いたため、仕方なくレコン・キスタ側の艦長として革命戦争に参加したのである。 アルビオン伝統のノブレス・オブリージュ……、高貴なものの義務を体現するべく努力する彼にとって、アルビオンは未だ王国なのであった。 彼にとって、クロムウェルは忌むべき王権の簒奪者なのであった。 「これで、『ロイヤル・ソヴリン』号にかなう艦は、ハルケギニアのどこを探しても存在しないでしょうな」 ボーウッドは、間違えたふりをして、この艦の旧名を口にした。その皮肉に気付き、クロムウェルはほほ笑んだ。 「ミスタ・ボーウッド。アルビオンにはもう『王権(ロイヤル・ソヴリン)』は存在しないのだ」 「そうでしたな。しかしながら、たかが結婚式の出席に新型の大砲をつんでいくとは、下品な示威行為と取られますぞ」 トリステイン王女とゲルマニア皇帝の結婚式に、国賓として初代神聖皇帝兼貴族議会議長のクロムウェルや、神聖アルビオン共和国の閣僚は出席する。 その際の御召艦が、この『レキシントン』号なのであった。その親善訪問に新型の武器をつんで行くなど、砲艦外交ここに極まれり、である。 するとクロムウェルは、何気ない風を装って、つぶやいた。 「ああ、きみには『親善訪問』の概要を説明していなかったな」 「概要?」 また陰謀か、とボーウッドは頭が痛くなった。 クロムウェルは、そっとボーウッドの耳に口を寄せると、二言、三言口にした。 ボーウッドの顔色が変わった。目に見えて、彼は青ざめた。そのくらいクロムウェルが口にした言葉は、ボーウッドにとっての常軌を逸していた。 「バカな! そんな破廉恥な行為、聞いたことも見たこともありませぬ!」 「軍事行動の一環だ」 こともなげに、クロムウェルは呟いた。 「トリステインとは不可侵条約を結んだばかりではありませんか! このアルビオンの長い歴史の中で、他国との条約を破り捨てた歴史は一度たりとて無い!」 激昂してボーウッドは喚いた。 「ミスタ・ボーウッド、これ以上の政治批判は許さぬ。これは議会が決定し、余が承認した事項なのだ、 きみは余と議会の決定に逆らうつもりかな? いつからきみは政治家になった?」 それを言われると、ボーウッドはもう、なにも言えなくなってしまった。 彼にとっての軍人とは物言わぬ剣であり、盾であり、祖国の忠実な番犬であった。誇りある番犬である。 それが政府の……、指揮系統の上位に存在する者の命令ならば、黙って従うより他はない。 「アルビオンは……、ハルケギニア中に恥を晒す事になります。卑劣な条約破りな国として、悪名を轟かすことになりますぞ」 ボーウッドは苦しげにそう言った。 「悪名? ハルケギニアはレコン・キスタの旗の下、一つにまとまるのだ。聖地をエルフどもより取り返した暁には、 そんな些細な外交上のいきさつなど、誰も気にもとめまい」 我慢ならなくなったボーウッドはクロムウェルに詰め寄った。 「条約破りが些細な外交上のいきさつですと? あなたは祖国をも裏切るおつもりか!」 クロムウェルの傍らに控えた一人の男が、すっと杖を突き出して、ボーウッドを制した。 フードに隠れたその顔に、ボーウッドは見覚えがあった。驚いた声でボーウッドは呟いた。 「で、殿下?」 果たしてそれは、討ち死にしたと伝えられる、ウェールズ皇太子の顔であった。 「艦長、かつての上官にも、同じセリフが言えるかな?」 ボーウッドは咄嗟に膝をついた。ウェールズは手を差しだした。その手にボーウッドは接吻する。刹那、青ざめる。その手はまるで氷のように冷たかった。 それからクロムウェルは、共の者を促し、歩き出した。ウェールズも従順にその後に続く。 その場に取り残されたボーウッドは、呆然と立ち尽くした。 あの戦いで死んだはずのウェールズが、生きて動いている。ボーウッドは『水』系統のトライアングルメイジであった。 生物の組成を司る、『水』系統のエキスパートの彼でさえ、死人を蘇らせる魔法の存在など、聞いたことがない。 ならばゴーレムだろうか? いやあの身体にはきちんと生気が流れていた。 『水』系統の使い手だからこそわかる、生前の、懐かしいウェールズの体内の水の流れが……。 なんにせよ、未知の魔法に違いない。そして、あのクロムウェルはそれを操るのだ。かれはまことしやかに流れている噂を思い出し、身震いした。 神聖皇帝クロムウェルは、『虚無』を操る、と……。 ならば、あれが『虚無』なのか? ……伝説の『零』の系統。 ボーウッドは震える声で呟いた。 「……あいつは、ハルケギニアをどうしようというのだ」 呆然と立ち尽くすボーウッドに、一人の整備兵が駆け寄り、敬礼をする。 「サー。報告いたします、『レキシントン』号、物資の搬入が完了いたしました」 「あ、ああ……ご苦労だった」 その声に我に返ったボーウッドは、声の震えを隠す様に眉間を指で抑えながら答えた。 その弱弱しい艦長の様子に、整備兵は心配そうに首を傾げた。 「どうかなされましたか? 顔色が優れないようですが……」 「いや……少し疲れただけだ。ぼくは少し休む、最終点検が済み次第、きみたちも休むといい」 「アイ・サー」 整備兵は敬礼をすると、踵を返し、持ち場へと戻って行く。 ボーウッドはそんな彼を見送った後、一つため息を吐き、自身も一旦休息を取るべく歩き出した。 貨物区画を抜け、資材置き場に差しかかる。 いつものこととはいえ、まるで迷路だ。と背丈よりも高く積み上げられた資材を見て、ボーウッドが一人ごちた、その時であった。 ぞくり、とボーウッドの背中に悪寒が走った、杖に手をかけ振り返ったその刹那、 「むごっ――っ!?」 いつの間に背後に立っていたのであろうか、フードを目深に被った、白のローブに身を包んだ男に口を塞がれる。 ボーウッドの表情が驚愕に歪む、その一瞬の隙を逃さず、エツィオはボーウッドの手から杖を奪い取ると、 ぐいとボーウッドの顎をつかみ、袋小路となっている場所へと引きずり込むと、肘や膝を様々な急所に叩きこんだ。 堪らずボーウッドはがくりと膝をついた。 「ぐ……お……」 エツィオは、地面に倒れ伏し苦悶の声をあげるボーウッドの胸倉をつかんで無理やり立ち上がらせると、 資材の壁に叩きつけ、喉元にアサシンブレードを滑り込ませた。 「ぐっ……! き、きみは……」 叩きつけられたせいか、朦朧とする意識の中、ボーウッドはエツィオの肩にかかった王家のマントを見て、絞りだすような声で呻いた。 「そのマント……、そうか……きみが『死神』……、なるほど、とうとうぼくの所に来たというわけだ」 手配書通りのアサシンの姿にボーウッドは得心したようだ、それからフードの中のエツィオの顔を見て、少し驚いたように呟いた。 「随分と若いのだな……。まあいい、殺す前に一つだけ教えてくれ、きみは一体何者だ? 王家の人間ではあるまい」 「そうだ、俺は王家の人間でもなければ、王党派でもない」 「王党派ではないなら、きみは一体……」 「アルビオンが、友の愛したこの国がこれ以上辱められるのを、看過するわけにはいかない」 「そうか……ならば殺すがいい。ぼくは……仕方がなかったとはいえ、王家を裏切り、同胞をこの手に掛けてしまった。 戦に勝ったとはいえ、ぼくは薄汚い裏切り者だ……。そして今、ぼくはこの愛する祖国を、更に辱め、地獄に突き落すところだった。 これ以上あの簒奪者に手を貸す位ならば、今ここできみに首を切り裂かれ、地獄に堕ちた方が幾分かマシというものだ」 死を前にしたボーウッドは全てを吐露すると、安堵の表情を浮かべ肩の力を抜いた。 エツィオはそんなボーウッドの胸倉を強く締めあげ詰問する。 「その前に答えてもらおう、新兵器とやらの設計図はどこだ」 「……それなら『ロイヤル・ソヴリン』……いや、今は『レキシントン』号か、その中にある」 「実物は?」 「実物だと? そんなことを聞いてどうするつも――がっ!?」 ボーウッドの鼻にエツィオの頭突きが突き刺さる。 鼻骨を折られ、激痛に顔を歪ませるボーウッドに、エツィオは冷たい表情のまま尋ねた。 「質問に答えろ」 「ぐっ……、き、きみの望む物は全てあの『レキシントン』号にある、製造された実物はそれで全てだっ……」 「わかった、……最後の質問だ、先ほどお前に杖を突きつけたフードの男、あれは誰だ」 「それはっ……」 その質問に、ボーウッドの顔が青くなった。まるで信じがたい物を見てしまったと言わんばかりの表情だ。 ボーウッドは震える声で自分が見た物をエツィオに説明した。 「あれは……殿下だった。ウェールズ・テューダー皇太子殿下……」 「殿下だって?」 「そうだ、あれは決してゴーレムなどそういうものではない、ぼくは『水』の使い手だ、だからこそわかるのだ、あの方は殿下その人だと」 それを聞いたエツィオはやや驚いた表情になった。眉を顰め、情報を整理する。 クロムウェルの指に光っていた魔力を帯びた指輪、ウェールズの身体を覆っていたそれと同質の魔力。 そして、クロムウェルの死者を蘇らせる『虚無』 瞬間、エツィオの中で点と点が繋がった。 「そうか……そういうことか」 「もう一発殴られる物と覚悟したが……信じるのかね?」 何やら納得した様子のエツィオに、ボーウッドは戸惑ったように首を傾げる。 エツィオは唇をかみしめると、やがて皮肉と憐れみが混じった笑みを浮かべた。 「ああ、おかげで奴の『虚無』の正体がわかった。……とんだペテン師だな、あの男は」 「ペテンだと? 一体それはどういう……!」 エツィオの言葉に、ボーウッドの顔色が変わった。 まさか、殿下を蘇らせた力は、『虚無』ではないとでもいうのか。 だがエツィオは、小さく首を振ると、ボーウッドの喉元にアサシンブレードを突きつけた。 「お前にとって、この事実は残酷な物だ、聞かずに逝った方がまだ救いがある」 「待て! 待ってくれ! 教えてくれ! 奴は一体何者だ! ペテンとはなんだ! もし、奴の虚無がペテンだとしたら! ぼくは……! ぼくはっ……! 一体何のために……!」 「……いいだろう」 エツィオはアサシンブレードを納めると、ボーウッドを突きとばした。 今まで締めあげられていたせいか、解放された後もしばらく咳き込んでいたボーウッドだったが、 やがて落ち着きを取り戻したのか、エツィオをまっすぐに見据えた。 「お前は先ほど、クロムウェルと謁見していたが、その時、奴は右手に指輪を嵌めていたことに気がついたか?」 「指輪? あ、ああ、細かくは見てはいないが……していたように思う」 「その指輪が奴の『虚無』の正体だ、奴自身、なんの力も持たぬただの平民に過ぎない」 「なっ、なんだと!? ど、どこにそんな証拠が!」 「俺にしかわからないことだ、殿下の死体を動かしている力は、奴が身につけている指輪の持つ力と全く同じ物だ」 激昂するボーウッドに、エツィオは淡々と言葉をつづけた。 「馬鹿な! 死者を動かす指輪だと? そんなもの、伝説の中にしか存在しないのだぞ!」 「クロムウェルが掲げる『虚無』とやらも伝説のようだが?」 「っ……! そ、それ……は……」 「伝説のマジックアイテム……、長い間姿を現すことのなかった虚無の担い手が突然現れるより、信憑性は高いんじゃないのか?」 「…………」 エツィオの話術に嵌まってしまったボーウッドは言葉を失ってしまった。 そのままへなへなと脱力し、地面にへたりこむ。 「騙されていたのか……? 我々は……」 ボーウッドは俯き、地面に拳を打ちつけると、絞り出すような声で呻いた。 「なにが……軍人は物言わぬ剣だ……なにが誇りある番犬だ……。 ぼくのやったことは、操られるがままに主人の首を噛みきっただけじゃないか……」 呆然とした表情で呟くボーウッドを見て、エツィオは持っていた杖を投げ捨てるとくるりと踵を返した。 それに気がついたボーウッドは驚いたように顔を上げた。 「ま、待て! ぼくを……殺さないのか?」 「悔いている人間を殺すほど、俺は傲慢じゃない。それに、俺がここにいる目的は、奴の手で歪んだ『王権(ロイヤル・ソヴリン)』ただ一つだ」 「この杖できみを攻撃するとは思わないのか?」 「その時は、改めてお前を殺すだけだ。……衛兵を呼びたければ好きにしろ」 冷たく言い放つエツィオを見て、ボーウッドはゆっくりと立ち上がると、服についた埃をはたき落し、力なく微笑んだ。 「いや……ぼくは何も見なかった、何もないところで転んでしまうとは、……軍人失格だな」 「……感謝する、サー」 「待ちたまえ」 振り返らずに立ち去ろうとしたエツィオをボーウッドが呼び止める。 「『ロイヤル・ソヴリン』を葬るなら、今が好機だ。明日、大規模な演習がある。 そのために、あの艦には今、大量の火薬と弾薬が積載されている。それを利用すればあるいは……」 「……なぜそれを俺に?」 「なぜかな……、自分でもよくわからない。せめてもの償い……いや、これで許される筈もないのだがな……。 きみの話が本当なら、もはやこの国に、『レコン・キスタ』に未来はない……ぼくは、どうすればいいのだろうか……」 自嘲的な笑みを浮かべ、悲しそうに呟くボーウッドに、エツィオは振り返る。 「ならば、亡命をする気はないか?」 「亡命?」 「お前は、『親善訪問』に難色を示していたな」 「あ、ああ、条約破りなど、恥知らずもいいところだ……」 「軍属のお前が亡命しトリステインに知らせれば、奴の企みは大きく躓く事になる」 エツィオのその言葉に、ボーウッドは少しだけ迷ったような表情になった。 自分は誇りあるアルビオン軍人だ、亡命などあってはならないことだ。と、少し前の自分ならそう言っていただろう。 しかし、今は違う。アルビオンの王位を簒奪し己の意のままに操っているのは、虚無を騙るペテン師だ、 そんな者にこれ以上肩入れすること自体、アルビオンを裏切ることになるのではないか。 そう考えたボーウッドは、顔を上げると力強く頷いた。 「わかった、その申し出を受けよう。これ以上あの簒奪者に仕えるのは、もう我慢ならない」 「協力感謝する、サー・ボーウッド」 エツィオとボーウッドは固く手を結んだ。 「亡命手段はこちらで用意しよう、それまで連絡を待て」 「わかった。それよりも急ぎたまえ、今は兵達の休憩時間だ、今なら警備が手薄なはずだ」 「ありがとう。サー、貴方も今すぐここから離れることだ、もうすぐここは灰になる」 「そうさせてもらうよ。……アサシンであるきみに、こんなことを尋ねるのは変な話なのだが……よければ、きみの名前を教えてくれないか?」 ボーウッドは頷くと、踵を返し『レキシントン』号に向かおうとするエツィオに尋ねた。 「エツィオ・アウディトーレ」 立ち止まり、振り返らずにエツィオは名乗りを上げる。 ボーウッドはにっこりと笑みを浮かべ、頷いた。 「エツィオ……なるほど『鷲』か、この空の国(アルビオン)を駆けるに相応しい、よい名だ。我が胸に秘めておこう。 ……頼む、エツィオ・アウディトーレ。奴の歪んだ『ロイヤル・ソヴリン』を葬ってくれ」 真剣な表情で語りかけるボーウッドに、エツィオは小さく頷くと、『レキシントン』号に向かい、歩を進めてゆく。 その姿を見送ったボーウッドは、杖を拾い上げると、自身に『治癒』の呪文を唱え、顔の傷を癒すと、 腕に付いた『レコン・キスタ』の一員で示すことを表す腕章をむしり取り、兵器工廠を後にした。 前ページ次ページSERVANT S CREED 0 ―Lost sequence―
https://w.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/684.html
ルイズ達が目指しているのは、港町ラ・ロシェール。 トリステインから馬を走らせれば二日、空に浮かぶ大陸『アルビオン』への玄関口として知られている。 港町とは言っても海に面しているわけではない、いや、空を海に例えれば間違いではないが。 そのラ・ロシェールの酒場で、アルビオンへ行こうとする傭兵達が集まり、前祝いをしていた。 「アルビオンの王さまはもう終わりだね!」 「ガハハ!『共和制』ってヤツの始まりなのか!」 「では、『共和制』に乾杯!」 そう言って乾杯しあう傭兵達、彼らは元はアルビオンの王党派についていた傭兵達だが、王党派よりも良い待遇で貴族派が雇ってくれると知って、王党派を裏切った。 彼らは王党派を離脱すると、貴族派に付いて各地の傭兵達を集めた、この酒場に残っている傭兵達は、言わば連絡役なのだ。 ひとしきり乾杯が済んだとき、酒場に仮面を付けた男が現れた。 男は傭兵達に近づき、料理の並ぶテーブルの上に重そうな袋を置く、すると重みで口が開き、金貨が顔を見せた。 「働いて貰うぞ」 傭兵達はその男を不審に思ったが、袋に書かれているマークがアルビオン貴族派のものだったので、にやりと笑って頷いた。 一方、魔法学院を出発したルイズ達は、ワルドの乗るグリフォンの早さに驚いていた。 ロングビルとギーシュの乗る馬は、途中で二回も交換した、しかしワルドのグリフォンは疲れを見せずに走り続ける。 長時間馬を駆るのは乗り手にとっても大きな負担だが、ワルドとグリフォンはまったく疲れた様子を見せない。 「ちょっと、ペースが速くない?」 ワルドの前に跨ったルイズが言った。 ルイズはワルドと雑談を交わすうちに、学院で見せるようなくだけた口調に変わっていった、ワルドがそれを望んだためでもある。 「ギーシュもミス・ロングビルも、へばってるわ」 ワルドが後ろを向くと、ギーシュはまるで倒れるような格好でへばっている、ロングビルは明らかに表情に疲れが出ている 「ラ・ロシェールの港町まで、止まらずに行きたいんだが……」 「普通は馬で二日かかる距離なのよ、無理があるわ」 「へばったら、置いていけばいい」 「そういうわけにはいかないわ」 「ほう、どうしてだい?」 ルイズは、困ったように言った。 「だって、仲間じゃない。それに……」 何かを思い出そうとして、結局そこで口をつぐんだ。 ルイズの頭に、古い宮殿での記憶が引き出される。 ある目的を持って二手に分かれたが、それが二人を見た最後だった。 三人いるはずの別チームが、再会したときは一人に減っていた。 炎の使い手と、砂の使い手、その二人を助けられなかったことをずっと悔やんでいる。 その記憶に引きずられたルイズもまた、仲間と離れるのは怖いのだ。 「やけにあの二人の肩を持つね。もしかして、彼はきみの恋人かい?」 「あ、あれが…? 冗談じゃないわよ」 ルイズは苦虫をかみつぶしたような顔をした。 「ならよかった。婚約者に恋人がいるなんて聞いたら、ショックで死んでしまうからね」 「お、親が決めたことじゃない」 「おや?ルイズ!僕の小さなルイズ!きみは僕のことが嫌いになったのかい?」 過去の記憶と同じおどけた口調で、ワルドが言った。 「何よ、もう、私、小さくないもの。失礼ね」 ルイズは頬が熱くなるのを誤魔化すように、頬を膨らませた。 グリフォンの上でワルドに抱きかかえられながら、ルイズは先日見た夢を思い出していた。 生まれ故郷の、ラ・ヴァリエールの屋敷で、困っているときは、いつもワルドが迎えにきてくれた。 だが、そこに現れる白金の光、光は徐々に人型をして、屈強な戦士を思わせる姿に変わる。 薄いブルーの色をしたその戦士に抱きかかえられ、ワルドと対峙するルイズ。 その夢が何を意味するのか、今のルイズには分からなかった。 途中、何度か馬を替えたので、ルイズ達はその日の夜中にラ・ロシェール付近にまでたどり着くことができた。 町の灯りが見えたので、ギーシュとロングビルは安堵のため息をついた。 「待って!」 不意にルイズがワルドを制止した。 「どうしたんだい?」 「誰かいるわ…2……3人…」 そのとき、不意にルイズ達めがけて、崖の上から松明が投げこまれ一行を照らした。 「な、なんだ!」 「馬から下りなさい!」 慌てて怒鳴ったギーシュに、ロングビルは指示を飛ばす。 突然の事に驚いた馬が前足を上げたので、ギーシュは馬から落ちてしまう、そこに何本かの矢が飛んできた。 もの矢が夜風を裂いて飛んでくる。 「奇襲だ!」 「伏せなさい!」 ギーシュがわめくと同時に、ロングビルは地面を練金して泥の壁を作った、スカッと軽い音を立てて矢が突き刺さる。 ワルドは風の魔法を唱えて身の回りにつむじ風を起こし、矢を防いてでいたが、攻撃に転じようとしたときに別方向から一陣の風が吹いた。 同時に、ばっさばっさと羽音が聞こえた、その音に聞き覚えのあったルイズが崖の上に目をこらすと、六人ほどの男達が風の魔法に巻かれて崖から転がり落ちてきた。 「ほう」 感心したようにワルドが呟くと、がけの上から落ちた男達は地面に体を打ち付けてうめき声を上げた。 そして空には見慣れた幻獣…タバサの乗るシルフィードが姿を見せていた。 「シルフィード!」 ルイズが驚いて声を上げると、シルフィードは地面に降り、その上からキュルケが地面に飛び降り髪をかきあげた。 「お待たせ」 ルイズもグリフォンから飛び降りキュルケに怒鳴る。 「お待たせじゃないわよ! 何しにきたのよあんたたち!」 「あーら、助けにきてあげたんじゃないの。朝がた、あんたとギーシュが馬に乗って出かけようとしてるもんだから、急いでタバサを叩き起こして後をつけたのよ」 キュルケはシルフィードの上に乗ったままのタバサを指差した。 寝込みを叩き起こされたとは言え、パジャマ姿は何か面妖だ。 「キュルケ、あのねえ、これはお忍びなのよ?」 「お忍び? …まさかギーシュと駆け落ち?」 ルイズは笑顔になりながら杖を抜いた、その仕草にキュルケが冷や汗を流す、やばい、怒ってる。 こんな場所で爆発を起こされてはたまったものではない、これにはキュルケも謝った。 「ま、まあ冗談よ!勘違いしないで。あなたを助けにきたわけじゃないの」 キュルケはグリフォンに跨ったままのワルドににじり寄り、しなを作った。 「おひげが素敵なお方ね、あなた情熱はご存知?」 ワルドは、側に寄ろうとするキュルケを手で押しやる。 「あらん?」 「助けは嬉しいが、婚約者に誤解を受けると困るのでね、これ以上近づかないでくれたまえ」 そう言ってルイズを見つめる。 「こ、婚約者?…ふーん、ルイズにねぇ…」 キュルケはルイズを冷やかしてやろうかと考えたが、気が乗らない。 ルイズに微妙な戸惑いがある、と感じたからだ。 しばらくしてから、男達を練金の手かせで拘束し、尋問していたロングビルとギーシュが戻ってきた。 「子爵、あいつらは物取りだと言っていましたが」 「ふむ……、なら捨て置こう」 ギーシュの報告を受けて 先を急ごうとグリフォンに跨るワルドをルイズが制止する。 「ルイズ、どうしたんだ?」 「あいつら、グリフォンに乗ったワルドを見ていたはずだわ。それなのにたった三人で襲ってくるなんて…ねえ、キュルケ、上空から見ても三人だった?」 「あたしが見た限りじゃ三人よ、ね、タバサ」 タバサは無言で頷く。 「何か気になることでも?」 ロングビルの質問に、メイジ4人をたった3人で襲う野党がいるだろうか?と、ルイズが答える。 「貴族派に嗅ぎつかれているのかもしれんな…どちらにせよ、ラ・ロシェールに一泊するしか無い、朝一番の便でアルビオンに渡ろう」 ワルドは一行にそう告げた。 ルイズは腑に落ちないものを感じながらワルドに手を引かれ、グリフォンに跨った。 キュルケはシルフィードの上に乗り、本を読んでいたタバサの頬を突っつく、出発の合図らしい。 目の前の峡谷には、ラ・ロシェールの街の灯が怪しく輝いていた。 そしてルイズの中にいる『誰か』が、ワルドに対する警戒心を強めていた。 ---- #center{[[前へ 奇妙なルイズ-17]] [[目次 奇妙なルイズ]] [[次へ 奇妙なルイズ-19]]}
https://w.atwiki.jp/magicalgirlwar/pages/26.html
クロス案 いろいろ はやてとケロちゃんの地元トーク シグナム、明日菜に剣術指南 ルイズがアルフとザフィーラを見て「私もこんなまともな使い魔が欲しかったぞ」と言う。 赤ずきんがシグナムに対して「私と同じだね」と言う(「火の魔法」担当の剣士繋がり) ヴァルがザフィーラとの戦闘でジェドの仲間だと思い込む。 ヴォルケンズが味方になった後ヴァルがザフィーラに対して「お前俺とキャラ被ってるんだよ!」って言う。周りが「どこも被ってないじゃん」とか言われてヴァルが不機嫌になる。 3匹(リーヤ、ヴァル、ジェド)まとめて犬呼ばわりされて「狼だ!」と言い返したり 異世界編でガウリイとシグナムの対決とか盛り上がりそう 夜天の魔導書=人工「異界黙示録の写本」関係 夜天の魔導書は本来、人工的に作られた完全な「異界黙示録の写本」を目指していた 夜天の魔導書を作った人物は異世界で不完全な異界黙示録の写本をいくつか見つけてそれの完全版をつくろうと思ったとか。(補足)竜族が守ってる異界黙示録以外の写本は断片的だったりして不完全なものばかり (補足2)「異界黙示録」ことクレアバイブルはかつて魔王と戦い、相打ちとなった神様の記憶の破片のこと。触れながら問いかけることで知識を与える(ただしそれは理解できるとは限らない)物体。 原作では時空のねじまがった空間にありました。(その後魔族の攻撃によってそこへの入り口は閉ざされた) 写本と呼ばれるものが存在し、クレアバイブルの知識の一部がつづられてます。 ブラッディーダガーやデアボリックエミッションを不完全な無系統の魔法、神滅斬や重破斬の小型版とか。 ゼナファ(伝説の魔獣ザナッファー)のデータも入っていて、故に闇の書の防衛プログラムはあんな形で更に強力なバリアがあるとか。 これまでに蒐集した膨大な魔法データを蓄積しているっていう設定もあるから、闇の魔法に関する情報とかも入っててもおかしくはない… 闇の書の発動に合わせて闇の魔物のデータが具現化して現れるっていう展開もありだな闇の書の意志が覚醒した時に、中級クラスのボスが出てくるとか?トゥルーデの3体のしもべとか、プリキュアの四天王の奴らとか データが実体化したって事にすれば倒した敵も再び出せる 魔法によって作り出されたユニット(使い魔と魔族)は出て来ても良い 夜天の魔導書が闇の書になったきっかけは、魔族(フィブリゾか誰か)が人間には過ぎた力だから暴走させれば、面白いとか思ってデータ改変したとかフィブリゾ戦がより一層引き立つ 夜天の魔道書を何度も改変されて闇の書となったキッカケの人物を作り出すのは面白そう この設定にするなら異界黙示録は元々が神族の精神体だから、神聖呪文のデータが夜天の魔導書時代に登録されていて、 更にその後フィブリゾに闇の書に変えられた際に魔族系統の呪文(金色の魔王の情報含む)が与えられたから両方使えると。 光の勇者の伝説 言い伝えによれば、伝説の勇者は、あまたのいかなる武器を使いこなし、更には火や水や風や大地をも自らの刃と化したという。 中でも伝説の魔獣ザナッファーを切り裂いた光の剣は如何なる物をも断つともいう。 その右手には勇者の証となる刻印が刻まれている。 とまぁこんな感じでちょっと前に上がってた光の勇者設定(ガウリィ、サイト、ニケ)を文章化してみたり… 裏設定で、この語られている人は初代ガンダールヴで右手の刻印もちでなんかの拍子でゴルンノヴァでザナッファー倒してて、火とか水とかは召喚された際についてきた現代兵器とかでいいんでは無かろうか?(最後のはスタオ2のフェイズガンみたいな解釈でおけ) ラスボス 736名無し ラスボスはオリジナルがいいと思うんだけど、どうかな? 737シルバー 前スレでもその話出たんですよね。ちなみにその時はオリジナルは入れるべきじゃないって結論でした。 まだストーリーも決まってないので時期焦燥だとは思いますが作品別でラスボス候補をあげてみると さくら→ユエorエリオル。話の進み具合にもよりますが多分さくらカードまでは詰め込めないのでユエ。しかも明らかにラスボス向きじゃないので除外ですね。 なのは→闇の書の闇。異常な再生能力や転生機能、採取した魔力の性質などもコピー出来る。更にとんでも敵を吸収させればラスボス化もおかしくない魔法少女界のAI1。だが、せっかく2期からやるのではやて&ヴォルケンズの参入がラストだけと言うのも…却下。 ネギま→フェイトorヘルマンor超。話の進み具合にもよりますが、どれもラスボスには役不足感が否め無いと思います。 プリキュア→ジャアクキング(復活)。設定的にもルビーアイの一つなので申し分ない。原作では現実世界に降臨。ただ、恐らく一部ラストもジャアクキング スレイヤーズ→フィブリゾ。これもラスボス候補。裏で手下を暗躍させる(ゼロスなど)ので各キャラの因縁を作ることも可能。 グルグル→ギリまでは無理となると必然的にラスボス候補は見当たらない。 740名無し ゼロ魔はまだ魔王級のは出ていないのでだめですね。虚無の担い手の対決起こってないし。 赤銃はシンデレラが強いので防衛プログラムと同化させてエルデ先生化。 鍵を取り込むし、魔法というターミナス・エナジーを使えるので――ってこれじゃあMXの再現になってしまうな。 絡ませるのはいいと思いますよ。矛盾も起こらないだろうし。 いっそのこと、なのは様に金色の魔王を取り付かせて ラスボスをやってもらうとか言う手もあるかも。 741名無し L様じゃどうしようもないから素直にルビーアイの欠片にしとこうぜ 742名無し たしかに強すぎるよな。ルビーアイならなんとか勝てそうだし。 異世界の都市のクロス 822シルバー ゼロ魔の4国は今回のアトラス=コーダイみたいにくっつけることは出来ないでしょうか? 823ゼロ魔 大幅に設定を変えれば大丈夫だと思いますけど流石に4国を一つにするのは厳しいですね。 ガリアは王位継承などでなどで起こった悲劇とか、 教皇が治めているロマリアは教皇のほうが地位が高かったりしますし、アルビオンの滅亡がありますから 824シルバー アルビオンはサイラーグにして一緒に吹っ飛ばされちゃうのはどうです?w ガリアかロマリアはセイルーンと合わせられそうかな? 825ゼロ魔 いいですね、おもしろそうですよ。ロンディニウムと言う所は昔大火事あったり、 アンドバリの指輪を使ってシティオブサウスゴータを占領する連合軍三万を操るとかありますし でも、浮遊大陸なのがちょっと問題かな? 826シルバー アルビオンは相性良さそうですね。大火事の件は昔の伝説の魔獣ザナッファーあたり被せられる。浮遊大陸…。見せてあげよう、ラピ)ry フラグーンも生えてるからマジでラピュタになっちまうw 828シルバー サイラーグとアルビオンはいけそうだけど、セイルーンは難しいかなぁ…。トリステインはどうです? 835シルバー セイルーンをにゼロ魔の4国のうちの一つを合わせられないかと。 サイラーグとアルビオンの同一化は行けそう何で実質三国ですけど。 その場合のグルグルのシュギ村イベントをセイルーン内(領内?)で行う場合に空と地の腕輪を4の4に組み込めないかと言う事なんです。 836ゼロ魔 ゼロ魔ではっきりと数が分かってるので組み込むのは難しい。 セイルーンは信仰や白魔法が厄介。アルビオンのサウスゴータは円形状の城壁と内面に作られた五芒星形の大通りが特徴なので巧く組み合わせられるかな? でもそうなるとアルビオンに国が二つになって色々やっかいな事になるしなー。 837シルバー なる程、ではセイルーンと合わせるのと腕輪は諦めましょうか。 あと、ゼロ魔でシルフィードが人間形態になってましたね。スレイヤーズでも黄金竜のミルさん達も同じですね。 で、そこで閃いたのですがスレイヤーズのディルスとガリアってのはどうでしょう? ドラゴンズピーク(シャイターンの門も)近いのでエルフやドラゴンが絡んでくるのもスムーズに出来ますしディルスはスレイヤーズでも敵対…というかガーヴ一味がいるのでやりやすそうかと 840ゼロ魔 おそらく大丈夫でしょう。でもディルスとガリアの王家をどうするかが問題ですよね。 ディルス王家には居なくなってもらうとかは……不味いですかね? 841シルバー ディルスの王家はまんまガリアに入れ替えてガーヴ(ラーシャート&ラルターク)にいいように使われる、って言い方はおかしいけどそんな感じはどうでしょ? でもまぁこの話やるとしても3部だから急ぐ必要は無いですけどね。 842ゼロ魔 それだとアルビオンの反乱軍とちょっとかぶっちゃうから協力者くらいで良いじゃないかな? まあ、とりあえず保留ですかね。 スレイヤーズTRYの神託 作るスレ 483-484 光と闇の狭間の力、これを光魔法ニケ・闇魔法ククリ・虚無のルイズ 五つの星のかけら、五つの星の人 地球・ネギの魔法世界・スレイヤーズ・赤ずきん・と『光の園』の力を使うプリキュア という設定はどうかなと。 作るスレ 495 TRYの神託、俺も考えてみた 全作品での合体攻撃は最終決戦で使えそうだし 光・チャチャ 闇・リナ 狭間・さくら&ククリ 五つの星の欠片 プリキュア(光の園) ルイズ(始祖ブリミルのいた世界(≠地球にはできないものか)) 赤ずきん(異世界編の世界) なのは(ミッドチルダ) ネギ(現実世界) 時系列 89名無しさん ちょっと気になるんだが1見てるとなのははシリーズになってるけどプリキュアはMAXheart無しなのか? そうするとなのはは何処までやるかは知らないが(流石にSSまではやらんだろうが)そちらが無印からA sに入ったらプリキュアの方がMAXheartに入らないと時系列がおかしくなると思うんだが 同様にカードキャプターさくらもさくらカード編に入る関係上の時系列問題があるけど映画版は流石にやらないよね? 90シルバー 現実世界編はまだいじる予定なので確定では無いのですが、今の案ではなのはのみA sからスタート何ですよ。 時系列の件は自分も気にしていてプリキュアは無印、さくらはクロウカード編まででちょうど一年間なのでそこまでで考えています。 ちなみにネギまとゼロ魔の作品内での一年ってどのあたりまでかわかる人いますか? あとなのはって確か無印とA s併せて一年じゃなかったでしたっけ? 91ゼロ魔 調べたらだいたい八ヶ月くらいですね。 94シルバー 8か月というのはなのはの事でしょうかね? 8か月で心も戦闘力もあそこまで進化する小学3年生って… 不死関係 136ゼロ魔 アンドバリの指輪と仮面の石って被りますかね? 141シルバー 仮面の石ってセイグラムのやつですか?指輪の方がわからないんで自分ではなんとも… 142ゼロ魔 簡単に説明すると指輪は人を操ったり、死者を生き返らして操る代物です。 魂を封じ込める契約の石とはちょっと違いますけど 143◆cw6NU9U4lA アンドバリの指輪に関しては能力が冥王の能力と被るので冥王を出したいですね 冥王がウェールズを生き返らせて操り、アンリエッタを誘拐するとか まあそこまで話が展開するかどうか分からんですが 144ゼロ魔 なんだか“それも私だ”の人を思い出しちゃった 145シルバー あー、て言うとティファニアがサイトとギーシュ?を生き返らせたヤツですね? あれって回数制限とか無いのかな? やれるかわからないけど伏線張るくらいなら出来そうですね。 しかし、死者を甦らせるって扱い危ないですね。プレシアママンとかが知ってたらエラいことにw 人間以外のものも効果あるのかな? フィブリゾがアンリエッタ誘拐するメリットって何かあっ…、あるな。ルイズも虚無使いだからガウリイと一緒に連れてかせると言う手も… フィブリゾはまぁほぼそれも僕だ、だから連想しますよね、というかモロそのポジでしょう。 146ゼロ魔 ティファニアが持ってたのはサイトを生き返らすのに使い切っちゃったから詳細不明。アンドバリの指輪とは別ですよ。 アンドバリの指輪は水の精霊曰く、偽りの命らしいからホントの蘇生じゃないらしい。解呪したら元の死体に戻っちゃうからね でもプレシアママが欲しがるよね絶対。所有者のガリア王に勝利したから次の巻で見つかってもいいはずだけど…… フィブリゾに「それも僕だ」ってセリフ言わして欲しいです。 147 名無しさん 有る程度の魔族なら死者を生き返らせることもできるんだけどな ゼロスもすぺしゃる8巻でやってるし 148名無しさん あれは脳死に至ってない心停止状態を回復させただけで 実際に脳死にまで至った人を生き返らせることはほぼ無理だよ
https://w.atwiki.jp/kenkyotsukaima/pages/49.html
謙虚な使い魔~アンドバリの呪縛~ アルビオン艦隊旗艦『レキシントン』号の後甲板から、艦長のボーウッドは鋭い眼をもって、深夜の砂浜を見渡していた。 タルブ攻略が開始されて以来、ボーウッドは卑怯なだまし討ちであるこの作戦への批判も、人間らしい情も、政治的不満もすべて頭から吹っ飛び、ただ忠実なる軍人となっていた。 隣ではクロムウェルが満足気な表情を浮かべて、タルブの砂浜に展開するアルビオン軍の松明の灯りを眺める。 「どうだね、ミスタ・ボーウッド?降下隊は無事、傭兵隊と合流できたのかね?」 「はっ、閣下。先ほどの伝令によれば、砂浜に降り立った三千、それに集められし傭兵隊の一千、合わせての四千が陣を編成中との事です」 「うむ、予定通りだな。それに加え、『支援者』からの水陸両用艦の二隻も間もなく到着するだろう。余が聞いたところ、何でも有能なメイジ達を集めた部隊が乗っているそうだ。戦力として五百、いや……一千と見ていいだろう」 その時、伝書フクロウの伝令を携えた水兵が二人の前に駆け込んできた。 「偵察隊より伝令!申し上げます!ラ・ロシェール方面にトリステイン王国軍が部隊を展開。その数二千。敵隊の中にトリステイン王女アンリエッタの旗印を確認!また、王国軍は明朝の日の出とともにラ・ロシェールを出撃し、タルブにて我々を迎え撃つつもりである、との事です」 「無謀な、制空権を取られ、数でも劣るのに、敢えて野戦を望むとは」 ボーウッドは静かに呟いた。 「この『親善訪問』に、御多忙であろう王女殿下が直々に迎えに出てくれるのだ、実に光栄な事ではないか。ミスタ・ボーウッド、くれぐれも王女殿下に粗相があってはならない。この『レキシントン』号で持て成す準備をしたまえ。確か、王族には二十一発の『礼砲』が習わしだったな?」 クロムウェルはにやりと不敵な笑みを浮かべる。 言葉に含まれた皮肉の意図を理解したボーウッドは直ちに水兵達に命令を下す。 「左砲実弾装填!夜明けまで半舷交代で待機!」 「左砲実弾装填、アイ・サー!」 ボーウッドは地平線の彼方を見つめ呟く。 「あと数刻で夜明けだな……トリステインの王権もそれまでか……」 ルイズとブロントを乗せたシルフィードは、黒鷲の先導の下、タルブ寺院近くの林に降り立った。 「以前と違って、夜は不気味ね……」 砂浜に灯るアルビオン軍のかがり火が薄らと見える以外、五歩先も見えない暗さだった。 先を歩く黒鷲の姿は闇夜に紛れてその姿が全く見えなくなってしまったが、鳴き声でルイズ達を誘導しているようだった。 シルフィードはきゅい~となんとも弱弱しく鳴き声を漏らし、オドオドとしている。 「図体に似合わず、あんた意外と臆病な風竜なのね」 と言いつつ、ルイズもブロントの腕にしがみ付いている。 「うるさい、気が散る。一瞬の油断が命取り」 「バレる、ってこんな所までアルビオンも展開しているわけないじゃ……もがっ!」 ブロントが咄嗟にルイズの口を塞ぐ。 「もっふぉ、ふろんふぉ、ふぉにふぃふぃふの」 「バレて援軍とか呼ばれて一巻の終わり」 そう静かに囁いた後、ブロントは林の奥を指差す。 松明だろうか、六つ程明かりが揺ら揺らと林の向こうで踊っている。 ルイズは耳を澄ますと、男達の喧騒が聞こえてくる。 『おい、襲撃されているぞ!』 『明かりを消せ!』 『何が田舎の寺院はお宝が眠っている、だ!メイジがいるなんて聞いてないぞ!』 『ぬぐぁ!』 風に吹かれ、木々がガサガサと激しく揺れる。 枝が弾けるような音とともに、明かりが一つ一つ消えてゆく。 やがて、林の中の明かりが全て消え、風も止み、辺りは静寂を取り戻す。 ルイズはブロントに口を塞がれたまま、じっと息を殺した。 シルフィードも茂みの中に頭を隠してふるふると震えていた、もっともその首から下は丸見えだったが。 闇の向こうからルイズ達に歩み寄って来る一つの足音があった。 パキ…パキン…ペキ… 枝を踏み折る乾いた音が次第に大きくなる。 ルイズは杖を抜くと、音が鳴る方向へと向ける。 ブロントもその手を腰のデルフリンガーにあてる。 足音はぴたりと止まる。 代わりにそこから「クァッ」と黒鷲の鳴き声が聞こえ、ばさばさと翼がはためいた。 「敵じゃない、私だ」 闇の向こうから語りかけた者が<ライト>の魔法を唱え、その杖の先に光を灯す。 ウェントゥスだった。 彼が着ていたガンビスンが泥だらけになっていた。 所々、茶色かかった赤い染みが付いていた、血だろうか? 「ウェントゥス様!お怪我は!?」 ウェントゥスは首を振った。 「大丈夫、そんな無茶はしてないよ。私が倒れてしまってはタルブの皆を守る者がいなくなってしまうからね。この服に付いているのは、一儲けを試みて本隊から外れ、寺院を狙ったはぐれ傭兵達のものだ」 ウェントゥスは手にした杖を鞘に収めた。 「良く来てくれた、友よ。この通り、私一人では一度に数名の傭兵を相手するのがやっとでね。あまり派手にやって寺院の存在がアルビオン本隊に知られてはまずいので、我ながら姑息な手段だが、夜襲をかけていたところだ」 「見事な仕事だと関心はするがどこもおかしくはない。他にはいにぃのか?」 「先程ので、寺院に興味を持った『信心深い』者たちは全て始末した筈。今確認して貰っている、鳥にしては夜目が利く方でね」 ウェントゥスが上を指差すと、上空から甲高い黒鷲の鳴き声が返ってきた。 「シエスタや、タルブ村の人達は無事なの?」 「ああ、みんな無事に寺院の中に避難している。流石ブロントの姉上が建てただけの事はあるな、並のメイジでは傷も付けられない程頑丈な寺院だよ」 イージス誇らしげな表情を作り、頷く。 「当然じゃの。セラーヌがこれを建てた際、護る事に置いて右に出る者のないこの神楯イージスがその設計に携わったのじゃ。祭礼の場としてより、むしろ砦と呼ぶに相応しいかものう」 デルフリンガーが鞘から少しだけ刃を覗かせる。 「おい、イージス。てめ、仮にもタルブの御神体様だろ。姉御の村が大変だって時に、てめえの自慢している場合か?」 イージスはしかめ面の様な表情を作る。 「わかっておる。まずは村を焼いて回った竜騎兵隊を何とかせねばならぬ。そやつら我が物顔で飛び回っておるうちは、王軍も手がだせぬわ」 ウェントゥスは頷く。 「あれは確かにやっかいだ。制空権を握られたままでは、地上の王軍は火竜のブレスの格好の餌食になるだろう。時折、王国も竜騎兵を送っているようだが、あの方法ではハルケギニア最強を誇るアルビオン竜騎兵隊を打ち破れるわけがない」 イージスはにやりとする。 「ほう、流石少数にて大軍を相手にしていた事がある者じゃのう。そう言うからには何か良い方法があるのじゃな?」 「……寡兵を以って大軍を制す、か。そうだな、こちらも風竜があれば手が無い事もないが……」 茂みに頭を隠して震えているシルフィードに一同の視線が集まる。 「きゅい!?」 じっと見つめられる熱い視線を感じたシルフィードが首をぶんぶんと横に振る。 イージスはワザとらしい程に悲しそうな表情を作る。 「乗り気ではないようじゃの。仕方ないのう、このままタルブの裏名物、『トゥーナのかぶと煮』が二度と食せぬ様になってしまうとは、至極残念じゃ」 シルフィードの目がキラリと光る。 「ピリリとジンジャーがきいた甘辛い秘伝のタレで、骨から肉が蕩け落ちる程までに煮込んだ丸ごとのトゥーナの頭。このレシピを守ろうと、我こそはと立ちあがる風竜はおらぬのか……私が口利きすれば村の者は喜んで作ってくれるだろうに」 「きゅい!きゅい!」 シルフィードは嬉々として自分の事を指差した。 「おお、勇気ある決断!そちの様に勇敢なる風竜が、名乗り上げた事に、私は感動を禁じえない!」 「きゅい!きゅい~!」 大げさに演技するイージスを見て、デルフリンガーがハバキを鳴らして笑う。 「へっ、イージス、口先で丸めこむなんてよ、前からてめのそういう狡賢い所が気に入らねえんだよ。大体よ武具なら……」 「デルフや、潮風に当たるとそちの輝く見事な刀身に良くないのう。しっかりと鞘に収まると良いぞ」 「お?そうか?そうだな、おい相棒、俺様をしっかりと鞘の中にしまってくれ、隙間から潮が入ってこねえようにがっちりとな!」 ブロントは言われたように、デルフリンガーを鞘にがっちり嵌め、更に留め金をしっかりと掛ける。 ウェントゥスが軽く笑う。 「ハハハ、さて。緊張がほぐれた所で、急ごうか。夜が逃げてしまう前に始めなくてはな。友よ、弓はどれ程扱える?」 ブロントは首を横に振りながらカバンから弓と矢筒を取り出す。 「俺は弓術はどちかというとまったく使えないのだが」 ブロントの背中に背負われたイージスが呟く。 「あまり謙遜するでない。その左手の紋様があれば、そちも一流の狩人以上に弓を使えるはずじゃ」 「それは頼もしいな。うむ、そうだな、これで行こう」 ウェントゥスは思いついた作戦の内容を皆に伝える。 ルイズが少し不満そうな顔をする。 「ウェントゥス様、それは、少し卑怯じゃないかしら?」 「さあな、私は貴族ではないからな。空賊流儀で言えば、不意打ちだまし討ちは基本でね」 ブロントは頷く。 「先に違法行為で仕掛けてきたのが奴等だろ。俺は今のところ我慢してるけどいつ怒るが爆発するかわからない」 「そ、それもそうね」 ルイズ達はシルフィードの背に跨る。 「よし、行くぞ。ええと、何といったかな……まあいい、飛び立て『イーグル』号よ!」 「きゅい!?きゅい!きゅい!」 『イーグル』号と呼ばれたシルフィードは何やら否定をするように両手をぶんぶんと振る。 「ハッハッハッ、気にいったか!よし、『イーグル』号、微速浮上」 「きゅい~……」 シルフィードは主人のタバサ以外に人語で語る事を固く禁じられており、名乗り上げ正す事もできなかったので『イーグル』号と呼ばれるのを受け入れるしかなかった。 後でたっぷりとツナの頭をお腹いっぱい食べさせて貰うんだから、と自分に言い聞かせてシルフィードは音を抑えてゆっくりと飛び立った。 タルブ上空。 ハルケギニア最強の竜騎兵隊と謳われるアルビオン竜騎兵は旗艦『レキシントン』号を中心として、タルブの上空を巡回していた。 その数およそ二十騎。 暗闇の空の中、竜騎兵隊は互いに<ライト>の魔法を用いて連絡を取り合っていた。 『日ノ出ト共ニ、トリステイン軍ハ総攻撃ヲ仕掛ケテクル。警戒ヲ怠ルナ』 杖の先の光りを点滅させる法則は軍によって違い、空の覇者たるアルビオン竜騎兵のそれは、他国軍に手の内を読まれぬ様にともっとも複雑を極めた暗号ですらあった。 南の空に、チカチカと光が瞬く。 『東ノ空ニ敵竜騎兵斥候ガ飛来。各騎散開シ、追跡セヨ』 『レキシントン』号の周りを旋回していた竜騎兵はその信号を次々と他の竜騎兵に伝え、『レキシントン号』を離れ散開する。 またチカチカと光が瞬く。 『敵艦隊ヲ上空ニ発見。上空カラノ奇襲ニ警戒セヨ』 一人の竜騎士が上空を見上げる、 (夜に乗じて艦隊を用いた奇襲?トリステインはまだ艦隊をもっていたのか?) 「クァッ」 鳥の鳴き声が耳の横を掠める。 その時、一陣の風が隊員の頬を撫で、鈍い振動がその竜騎士の体に伝わる。 (な、何だ?高度が落ちているぞ。どうした!?) 騎乗した火竜を見ると、その首は穴をあけて抉られており、矢が矢羽根まで深く刺さって絶命していた。 きりもみしながら騎士は火竜ごと、タルブより離れた東の草原に、静かに墜落していった。 ウェントゥスは<ライト>の魔法で、アルビオン竜騎兵の暗号を用いた嘘の信号を空に送る。 アルビオン空軍の暗号を熟知していたウェントゥスの偽の信号であるとも知らず、撹乱されたアルビオン竜騎兵は空を右往左往と飛び回り、ひたすら上空を警戒し、低空で羽音もたてずに滑空するシルフィードには気が付いていない。 「友よ、いい腕だ。『イーグル』号、旋回して先程と同じ針路を戻れ」 ウェントゥスに<サイレント>の魔法をかけられたシルフィ―ドは静かに距離を取り、旋回する。 「クァッ」 単独で飛行する竜騎兵を目標として捉えた黒鷲が合図の鳴き声を送る。 ウェントゥスはブロントの肩を叩く。 「上方四十度、左に二十五度。微調整は私の風でやる」 ブロントは頷き、左手にローゼンボーゲンを構える。 左手のルーンから、弓術に関する技術の全てがブロントの頭に流れ込む。 魔法すらも凌ぐ程の威力を秘めた狩人の技が、体中に刻みこまれる。 ブロントの目が鷹の様に細くなり、上空に浮かぶ火竜の影を狙う。 固く張られた弦に矢を掛け、引き絞る。 弓を握る手がバチバチと電流がほとばしる。 「ウィンデ!」 ウェントゥスが杖を振ると、火竜へと繋がる風の通り道を作る。 ブロントはその作られた風の道に矢を乗せて放ち、矢が火竜へと吸い込まれ、突き刺さる。 「次、上方三十二度。正面だ。ここからでは首が見えない、翼を狙えるか?」 「隠された力を発揮する披露宴となる」 ブロントは矢筒から四本の矢を右手の指それぞれに挟むと、それを纏めて同時に射掛け、矢の<乱れ撃ち>を放つ。 散弾の様に放たれた矢が、火竜の翼に穴をあけ、片翼を破かれた火竜はぐるぐる回転しながら地面へと落ちてゆく。 次々と落ちてゆく竜騎兵に、不振に思い始めた竜騎兵が信号を送る。 『敵襲ヲ受ケテイルノカ?正確ナ情報ヲ報告セヨ』 ウェントゥスが杖で光りを送る。 『コチラハ異常ナシ、北ノ空二不審ナ動キアリ』 闇の向こうから返答が返って来る。 『ソノ方ノ所属ト名前ヲ名乗レ』 『雷ヲ運ビシ風ノ<ウェントゥス>』 竜騎兵が次の行動へと移れる前に、ガクンと火竜が右に傾いた。 火竜の右翼が矢によって胴体に縫い付けられていたのだ。 「くそ、トリステインの空に一体何が潜んでいるというのだ!うぉおおおおお!」 騎士は雄たけび上げながら草原へと墜落していった。 タルブの遥か上空に浮かぶ『レキシントン』号。 クロムウェルは、艦に取り付けられた水時計を確認する。 「間もなく夜明けだな。ミスタ・ボーウッド。君は実に運が良い。二つもの王権が潰える所をその目で見る事をできるなど、そうそうない事だぞ」 ボーウッドは表情を一つ変えずに白む空を見つめていた。 彼は軍人として、何とも言えぬ違和感があった。 空がやけに静かだった。 艦の周りを巡回する火竜のきりきりと響く鳴き声が静まっている。 トリステイン軍の総攻撃に備え休憩を取っているのだろうか? いや、展開している竜騎兵に艦に帰還する命はまだ誰も出していないはず。 (竜騎兵隊はどうした?姿が見えないぞ) その時、伝令の水兵が飛び込んでくる。 「差出が『支援者』と書かれた閣下宛ての伝書です!」 クロムウェルはにこやかに笑顔になる。 「おお、遂に水陸両用艦隊が到着したのか?よい、読み上げたまえ」 「はっ!」 伝令は伝書を広げ、高らかに読み上げる。 『支援者ヨリ送ラレシ我ガ艦隊ハ、オルレアン上空ニテ、『ブラックコフィン』号名乗ル空賊ニ襲撃サレシ。拿捕ハ免レタガ、両艦共ニ小破。作戦続行不能トノ判断ニヨリ帰還ス。『親善訪問』作戦ノ成功ヲ祈ル』 「なんと、ここまで来て空賊とはついてないな。仕方あるまい、我々だけでも十分に戦力でトリステイン軍を上回っているのだ。予定には変更はないな、なあミスタ・ボーウッド?」 クロムウェルがそう問いかけていた時、ボーウッドは別の伝令が渡したであろう伝書を読んでいた。 「何かあったのかね?」 「どうやら、昨晩のうちに竜騎兵隊が夜襲にあったようです。展開していた二十騎がいつの間にか撃ち落とされた、と」 クロムウェルは驚愕する。 「誰にも気取られず、アルビオンが誇る竜騎兵隊を撃ち落とせる精鋭を、トリステインは持っていたとでもいうのか?」 「生存した者の証言によれば、『風の如く忍び、雷の如く穿つ』謎の魔物が空に潜む、とあります」 クロムウェルは両手を広げ、頭を振る。 「馬鹿な、魔物などいるものか」 「ええ、しかし空中戦を熟知した相当な手錬がいたのは確かでしょう」 「子爵はどうした、彼も落とされたのかね?」 「いえ、報告では子爵殿の風竜は被害に含まれておりません。しかし、艦内にも子爵とその風竜の姿は無いようです」 「ふむ……まさか子爵が?いや、それは無いか。あのワルド子爵であろうと、流石に竜騎兵二十騎を相手にする空の技量は持ち合わせていないはず。それに一度裏切った祖国にまた加担する意味が無い」 「閣下、竜騎兵隊は全滅しましたが、本艦『レキシントン』を筆頭に、艦隊は未だ無傷です。ワルド子爵も彼なりに何か策があるのだろう。作戦の続行に何も支障はありません」 「そうであったな、ミスタ・ボーウッド。大事の前の小事に気を取られてはいかぬな。例え竜騎兵を落とす魔物がいようと、この艦隊の艦砲射撃を止める術はないからな。おお、夜が明けるぞ」 地平線から太陽が覗かせ、明るむ大地と共に、陣を組むトリステイン軍の姿を露わにした。 ボーウッドは艦に命令を告げた。 「左砲艦砲射撃用意!寝ている者は全員叩き起こせ!」 タルブ上空。 「何とか夜明けまで竜騎兵を全て潰す事ができたみたいだな」 シルフィードに跨るウェントゥスが白む空を見て呟いた。 一番前に座っていたルイズは驚いた表情で、地に落ちた竜騎兵を見渡した。 「信じられないわ、竜騎兵隊をこんな方法をもってたった一騎で倒しちゃうなんて。空賊流と言うのも凄いのね」 ウェントゥスは笑う。 「ハハ、今回は良い条件がたまたま揃っていたからだよ。これほどの利がいつもこちらにあれば空賊稼業も楽なのだがね。それに大局を動かすほど事ではないさ。上空に浮かぶ艦隊がトリステインにとっては大きな脅威であるのは依然変わりない」 ブロントが黙って、煙を上げ、焼け落ちたタルブの漁村を眺めていた。 潮の香りが混じる家屋の焼けた臭い、立ち上る煙と揺らめく海がブロントの心を揺さぶる。 今にも血が逆流し、頭の先を突き抜けて行きそうな感覚であった。 「どうしたの?ブロント」 「なんでもにい」 ブロントの左手が激しく火花を散らしている。 辺りの偵察に飛ばした黒鷲の目を借りて、ウェントゥスは目を瞑っている。 「ようやくトリステイン側も到着したようだな……何故だ!?」 突然ウェントゥスは声を荒げる。 「何故先頭の旗印がユニコーンと水晶の杖なのだ!?」 「え……それってもしかして姫さまの……?」 「ゲルマニア軍の到着を待たずに、アン自らが軍の先頭に立ち、戦場に赴くとは……、察するにゲルマニアは援軍を出すのを渋ったのだろうな……」 ルイズは心配そうに尋ねる。 「勝ち目はあるの?」 「難しいな、アルビオンの半数程の王軍しか集められていない。何より上空のアルビオン艦隊がいては万に一つも可能性は無いだろう。せめて艦砲射撃を遅らせる手立ては……くそ、あれだけの艦隊を一度には無理だ!」 ブロントはウェントゥスに背中を向けたまま語りかける。 「おいィ?お前それで良いのか?」 「良くはない!アンリエッタを護るべきものがあそこにいないのだぞ?ゲルマニア軍も、王宮の国軍も!あのままでは、アンリエッタは……」 「最強の義務は最強のプレッシャーとなって襲いかかってくる。お前それで良いのか?」 「友よ……一体何を」 「お前はこんな所で俺に話したりする余裕があるのか?」 ウェントゥスははっとした顔になった。 ブロントの背中に背負われたイージスがウェントゥスに面と向かって語る。 「彼女を護るべき者なら、今ここにおるではないか」 「しかし、私がアンを……今更そのような身勝手は……」 「なんじゃ、不意打ちだまし討ちが得意な空賊流を見せた者が、今更その様な事気にしておるのか。空の無粋な者共が気になるのなら心配は無用じゃ。このタルブを護りし神楯イージスが言うのじゃ、任されよ」 ウェントゥスは強く唇を噛む。 「……いいのか、この私が、この手で……?」 「お前がいないアんリエッタに未来はにい」 ブロントはウェントゥスの襟を掴み、シルフィードから放り投げる。 「ちょ、ちょっとブロント!」 ルイズが慌てふためくが、ウェントゥスは動じず、落ちながら<フライ>の魔法を唱える。 ウェントゥスは晴れ晴れとした笑顔で、飛び去るシルフィードに向けて叫ぶ。 「友よ!また大きな借りができてしまったな!そちらは任せたぞ!」 黒鷲が勇ましく鳴き、ウェントゥスの高らかな笑い声が轟く。 「さあ、行くぞ!この恥知らずのウェントゥス、今参る!」 黒鷲は主人の手を引き、王軍の下へと羽ばたいていった。 「と言ったものの、イージス、本当に何とかできるの?あれ」 ルイズは空の艦隊を指差す。 「逆にそちを問おう。そちはその祈祷書を持ちながら、何をしておるのじゃ?」 「……悪かったわね、何もできない『ゼロ』で」 「では何故この戦場に来たのじゃ?何かを成し得たかったのではないのか?」 ルイズはうー、と唸る。 「わたしだって、何とか姫さまの力になりたいと思っているわよ。でもブロントみたいに戦える訳ではないし、ウェントゥス様みたいに知略があるわけでもないわ」 イージスが威厳を込めて笑う。 「ホッホッホッ、そちが如何なる能力を持っているか等些細な問題じゃ。肝心なのはそちが、相手をどう想ってやり遂げるかじゃ。それを踏まえて、今一度祈りでも捧げてみれば良かろう」 (姫さま……わたしは……) ルイズはふとポケットの中に入れたあったアンリエッタよる譲り受けた水のルビーをそっと指に嵌めた。 (わたしは、ただ祈る事しかできないの……?) ルイズが何気なく、始祖の祈祷書を開いた時、ルビーと祈祷書が光り輝きだした。 「な、何よこれ!?」 第23話 「いきなりトリステインの危機」 / 各話一覧 / 第24話[後編] 「追憶の風に抱かれて」
https://w.atwiki.jp/puzzle-quest/pages/300.html
組み立てる クエスト受付場所 概要 内容 追加されるマップ ※敵ステータスはプレイヤーにレベルを合わせるみたいなので省略 敵キャラ 所持スキル 所持装備品 攻略手順 報酬 450経験値 アルビオンの盾 (その代わり壊れた盾は消える(盾が変化する)。) どんなクエスト? 関連項目 サブクエスト攻略 1つ目のギア→2つ目のギア→3つ目のギア→4つ目のギア→5つ目のギア→組み立てる